モイラ --天使が犯した罪と罰--
「こうして天使様が隣に座ると、俺の恋人みたいだね」
「貴方は今冗談を言っているのよね?」
「本気。ちょーほんき」
「……嘘くさ」
そう言って溜め息を吐く天使様は、どうしてだか俺にはかわいく見えて、思わず笑みが溢れる。
「貴方、今変な顔してる」
「うん、天使様が可愛いから」
「うるさい。でも私、そういう表情の方が好きよ」
俺と天使様は、1つ取引をした。
“天使様に協力する代わりに、愛情を教えてもらう”
だから俺はこの3日間で、【ヘメラ】の主要な情報を包み隠さず明かした。
天使様が本当に天界から来たことは、お互いが触れ合えないことで、簡単に信じてしまった。
人ならざる存在。
だから共感をしてしまったのかもしれない。