モイラ --天使が犯した罪と罰--
天使様がなぜ、俺と取引してくれたのかは分からない。
ただ恐らく“愛情”というものを与えると、今の俺を生かせるのではないかと、漠然と思っているのではないかと思う。
天使様は、俺の取引の内容については詳しく聞かなかった。
俺を憐れんでいるのか、同情しているのか
はたまたその反対か──天使様の感情は読み取れない。
「貴方が感じたい“愛情”は、どういうものなの?」
「どういうものって?」
「色々あるじゃない。
家族愛、友情、恋愛感情……」
「恋愛感情って言ったら、天使様はどう思う?」
あ、そっぽ向いた。
こういう反応がいちいち可愛いんだよな、天使様は。
「言っておくけど、人間と天使の恋愛はご法度!
そのくらい人間の貴方でも分かるでしょう!?」
「こんなに耳を真っ赤にして何を言ってるんだか」
「赤くなってない!
赤くなってない……絶対…」
「因みに顔も真っ赤」
「嘘…!?」
「あ、やっと振り向いてくれた」