モイラ --天使が犯した罪と罰--
「どうして天使様はそんなに綺麗なの?」
俺と違って。
思わず本音が漏れてしまった。
すると天使様は俺の瞼に触れて、髪を撫でた。
「自分と違う人は、誰だって綺麗に思うものよ。
私は貴方を最初に見たとき、こんなにも美しい人間がいるんだって初めて思った」
琥珀色の瞳も、艶やかな銀髪も、
少し中性的で華やかな顔立ちもすごく好き。
なんて君はそう褒めてくれる。
俺が欲しい言葉を、そっくりそのままくれる。
「天使様」
美しいものに惹かれるのは人間の嵯峨だという。
なら、人ならざるものを手に入れたいと思う気持ちも、同等なのだろうか。
君はまるで、俺にとって宝石とか、そういった類いなんだと思う。
美しくて、手に入れたいけど無理だから我慢して、その繰り返し。
「俺、今この状態で死にたい」
「何言ってるの、私が絶対に許さないわ」
「だって俺、今が一番幸せだから。
幸せでしょうがないから、幸せなまま終わりたいんだ」
確かに、俺は……天使様と出会って数日しか経っていない。
それでもお互いに時間を共にして、常に一緒にいたことで、俺は少し後悔している。
もう心が君から離れられなくなっている。
君に惹かれてるんだ。