モイラ --天使が犯した罪と罰--
───ドゴォオオン……!!!
地鳴らしのように大きな音が鼓膜に響き、俺と天使様は目を覚ました。
「……何の音、これ」
天使様はきょとんとした顔をして辺りを見回すが、特段変わった所など無い。
祭壇はいつものように煌びやかで、むしろ変化を感じ取るのが難しいほどだった。
でも、直感で分かった。
この外で、危険なことが起きているって。
反射的に、俺と天使様は扉に目をやった。
自分の喉仏が大きく上下に動いたのが分かった。
「アイテル、私……何が起こっているのか確かめにいってみるわ」
俺はそんなことを言う天使様を、首を横に振って引き留める。
俺のそんな態度を見て、天使様は絶望したような表情を浮かべていた。
「……どうして、行かせてくれないの」
つんとした、何かが焼けるような匂い。
それが全てだった。
その瞬間に俺は、自分の運命を悟ってしまった。
「ねえってば……」
君の声が少しずつ遠くなるのを感じる。