モイラ --天使が犯した罪と罰--
頭がぼーっとし始める。
手足が段々と痺れだした。
瞼は段々と下がりはじめて、もう意識が飛んでしまいそうだ。
(……一酸化炭素中毒か)
ここで倒れてしまっては、君を見届けることはできない。
必死に最後の力を振り絞って、瞼を開く。
幸い、足の力はまだ残ってた。
「……は、やく…にげ、て」
けれど、気を抜いていたらもう、倒れてしまいそうだった。
視界がぐらつく。
きっともう、俺は自分の力で走ることなどできない。
「アイテル」
君の声だ。
君の声が聞こえる。
君と出会った瞬間、そう俺の名前を呼んでくれたよね。
もっと、聞きたかったな。