モイラ --天使が犯した罪と罰--
けれど、君が人間になった時、俺は1つ気づいたことがあったのだ。
君はもしかしたら──……。
「……っ、ア゛アッ…!!!!!」
刹那だった。
俺の足に、空から建物の破片が落ちてきたのは。
俺の手が君から離れて、そのまま倒れるように破片の下敷きとなる。
俺が巻き込まれたおかげで、君は傷を負ってなどいなかった。
守れてよかった。
君は建物の破片を退かそうと試行錯誤をするが、簡単に俺から離れてくれるような代物ではなかった。
足が虚血し、赤色に染まって行くのを見て、俺は終わりを感じていた。
例えこの建物の破片を退かすことが出来たとしても、俺の心臓はその影響で止まってしまうだろう。
君は俺を助けるのをやめない。
必死なその姿を見ると、あの子と重なった。
「ユマ」。
俺と昔一緒に遊んでくれた、近所の子。
もう会えない子。
俺を理解して、側にいようとしてくれた子。
俺の初恋の女の子。