モイラ --天使が犯した罪と罰--
「ユマ、お願いだ………。
この手で、俺を殺してくれ………」
ふと口から漏れたこの言葉に、ユマの瞳は大きく揺れていた。
そして頬に一筋の線が伝った。
ああ、やっぱり君は……俺が恋い焦がれた少女なんだね。
君は少し戸惑って、俺の首へと手を伸ばした。
小刻みに震える手が、君の躊躇いをよく表していた。
でも、嬉しかった。
これは俺のエゴだ。
俺のエゴで、俺は殺されるのだ。
「好きだよ」
そう言った瞬間、君の手の力が大きくなる。
もう視界は真っ暗だった。
最期の息の根がひゅっと喉を伝った時、
俺の命の灯火が、そこで消えた。