モイラ --天使が犯した罪と罰--
しかし、私の意識が途絶える前に、誰かが腕をそっと引っ張ったのだ。
反射的に私は振り向いてしまう。
そこには、焦った顔で私を見つめる知らない顔があったのだ。
「……!? アナタ、大丈夫…!!?」
恐らく、ここの家主さんなのだろう。
目の焦点が合ってくると、その人の容姿も明らかとなる。
艶やかな赤髪と、ルビーのような瞳。
男性的にも、女性的にも見えるその容姿に、思わず私は目を奪われてしまう。
(女の人……?いや、でも身体つきは男の人だわ…)
私が困惑している様子が理解できたのか、彼(?)は思わずふふって微笑む。
少しの衝撃で、私の身体の力は戻っていき、私は力を借りながらベッドへと戻っていった。
「あの……貴方は?」
おずおずと質問してみる。
すると彼(?)は私の背中を優しく擦りながら、私の質問に答えてくれた。