モイラ --天使が犯した罪と罰--
「あ、でもアタシは形成外科医じゃないから…
経過が悪かったらごめんなさいね。
病院だったら抗生剤でも出せたんだけど…」
「いえ、その…色々とありがとうございます。
何から何まで……」
「ん~…いいのよ、これくらい。
だって可愛い女の子に傷が付くのは嫌だもの」
起き上がれるようになった私は、アリアと2人で窓の外を見つめる。
アリアは、一ヶ所を人差し指で指した。
そこは繁華街の少し奥にある、かなり大きめの総合病院であった。
「アタシはあそこで働いてるの、今はお休み中だけどね」
「すごい、こんなに大きな所で働いてるんですね…」
「循環器科と心臓血管外科を担当してるんだけど、中々仕事がハードでねぇ。
だから繁華街まで出てきて飲んでたんだけど…」
まさか、そこに女の子が道のど真ん中で倒れてるとはね……とアリアは話を続ける。
面目無いと恥ずかしくなるが、そんな私をからかわずに、アリアは窓の外を見つめ続けた。