モイラ --天使が犯した罪と罰--
「ユマ、しばらくここに住みなさい。
で……すっごく元気になって、問題ごとが解決しそうなら元の所に戻りなさい」
願ってもみない誘いに、私は驚きで目をぱちぱちと何度も瞬きしてしまう。
アリアの真っ直ぐな表情は、冗談などでは無く、本気であることが伝わってくる。
「でも、私…」
お礼ができるわけでもなければ、役に立つことすらも難しいだろう。
それにこんな優しい人に比べて私は、きっと何も成せないし、申し訳なさでいっぱいになってしまう。
──けれど、私は今のところ水分以外何も口にしていない。
このまま外で過ごせば、餓死することは免れないことは分かっていた。
(私……死んだらどうなるの?)
きっと天使に戻ることも、過ごしている場所へと戻ることも叶わないのだろう。
──そうしたら自分の意識はどこへ行く?
考えただけでめまいがする。