モイラ --天使が犯した罪と罰--
アイテルと外へ脱出しても、火災から逃げられなかったのは、【ヘメラ】自体が森の隠された所にあったからだとようやく理解した。
どちらにしろ、アイテルの死は免れなかった訳だ。
(けれど…)
助けることだって出来たのではないかと、私はぎゅうっとスカートの裾を握った。
私が殺してしまう前に、私がどうにかしてアイテルを引っ張って、ここまで連れ出せなかったのか。
しかしもう私に残ってしまったのは、“火の海に飲まれる前に殺めてしまった”。
その事実だけであった。
「さ、海についたわよ~!」
「…!?」
ぼーっとしていた間にブレーキが掛かると、私の視界はコバルトブルーに染まっていく。
太陽と水面の煌めきで、海はまるで満点の星空のようであり、私は思わず息を飲み込んだ。
白い砂浜はそんな夜空を引き立てる天の川のようで、神秘的な光景がそこには広がっていた。
「早く行きましょ!
一緒に写真いっぱい撮るわよ!」
ぽいっとアリアからフィルムカメラを渡され、私は助手席から降りて辺りを見回した。