モイラ --天使が犯した罪と罰--
それから私はアリアと一緒に買い物をして、家に帰って晩御飯を作って、リビングでくつろいだ。
しばらく時間が経っているのにも関わらず、私の目蓋の裏には、あの星のような海が焼き付いていて離れなかった。
それはアリアも感じ取っていたようで、彼は私に日記帳とペンが入った包みをプレゼントしてくれたのだ。
「記憶の整理をするには、自分の気持ちを吐き出すのが一番よ。
ユマの瞳と同じ紺色の日記帳にしてみたわ」
「私の日記帳……アリア、私嬉しいです」
「中身は絶対に見ないから安心して頂戴ね。
あ、でも楽しいことがあったらアタシに共有して欲しいわ~」
「もちろんです!早速寝る前に書いてみますね」
月が昇る深夜、私はアリアからプレゼントされたペンを手に取る。
ペンの先には、圧倒的な輝きを放つトパーズが飾り付けられていた。
トパーズの意味は、ギリシャ語で“探し求める”らしい。
まさしく秘められた意味は、私の今の状態を象徴しており、未来へ導く糸のようであった。
それでなくとも、今の私にとってアリアは、“アリアドネの糸”そのものであった。