モイラ --天使が犯した罪と罰--
アリアは沈黙してしまい、私は思わず恥ずかしさから俯いてしまう。
余計なことを言ってしまっただろうか、という後悔とは裏腹に、アリアは私に唇に人差し指を当てる。
アリアの頬は、瞳と同じルビー色に染まっていた。
「あまりそういったこと、言わないで頂戴…。
……嬉しすぎて、アタシ、頭おかしくなっちゃいそうだから」
“嬉しい”、という言葉を聞いて私は、どっと肩の荷が降りた。
心配は杞憂だったようだ、それにアリアはその嬉しさを噛み締めるかのように、何だかそわそわしている。
「手先も器用だし、配慮もできて、私アリアさん以外考えられないです」
思わず火傷の痕を擦ると、アリアは私の頬をむぎゅっとつまんで、視線は彼と交わる。
アリアは私の瞳の色をよく褒めてくれる。
サファイアのように綺麗だと、この辺りでは中々見ない瞳の色だと。
でも私はアリアのルビーの瞳が、見惚れてしまうくらいに美しく、麗しいと思う。
アリアの瞳にうつる私の瞳は、アメジストのように瞬きを放つ。