モイラ --天使が犯した罪と罰--
「もう、アタシ以外にそう言うの禁止。
許さない」
「何で駄目なんですか?」
「嫉妬するからに決まってるでしょ」
アタシ、意外に嫉妬深いんだから。
そう言うアリアの表情は、男の人の強さを感じさせて、思わずときめいてしまう。
「アリアさんが嫉妬するところ、ちょっと見てみたい気もします」
「あら、煽ってるのかしら?
じゃあ絶対にそうさせてやらないんだから」
つんとおでこをつつかれると、私たちは家族みたいに笑って、肩を並べて歩き出す。
アリアの表情はどこか晴れやかで、真っ直ぐ前を向いている気がした。
「今日の晩御飯はエビピラフにしちゃう?」
「私、エビの皮剥き手伝いますね」
「じゃあお言葉に甘えちゃおうかしら。
どっちが早く皮剥きできるか勝負よ!」
「えーっ…!それなら私負けちゃいますよ!」
そう、私たちは本当の家族のように笑って、今日も食卓を囲うのだ。
過去の過ちを背負いながら、私は、アリアと共に生きているのだから。