モイラ --天使が犯した罪と罰--
「エリス、言っておくけど…罪の清算は自分でするわ。
貴方のお供なんてできないの」
「センパイのケチ~。
僕と遊んでくれないなんて残念」
「遊び相手なら、私以外にもいくらでもいるでしょう?
貴方……どうして私にこだわるの?」
こんなことをエリスに言ってしまっているが、私は彼が何故私の前に現れたのか知っている。
……それは、私が彼と同じ立場だったからだ。
私は【ヘメラ】を潰すためにアイテルへ会いに行った。
そして今彼は、私…【ユマ】を潰すためにここにいるのだろう。
(大天使様は、全て見ていらっしゃったのね)
私が【ヘメラ】にいた時の、その全てを。
私の力で【ヘメラ】は潰えた訳では無い。
内部分裂による破壊にアイテルは巻き込まれ、もう助からないと悟り、最後の希望を叶えようと……。
私は、
天使の役目を放棄した……人殺しとなったのだ。
私は私の意思で、彼の首を絞めた“罪人”であるのだ。