はじけて散っていくだけ
「んん〜〜暇だぁ」
ぐぐっと背伸びをして、ベッドに倒れ込む。
そのままちらりとカレンダーを見て、ため息をついた。
今日は8月30日。夏休みももう終わりかけ。
あいつ、今頃あっち着いたのかなぁ。
なんて暇さえあれば真澄のこと考えてしまうことに、未練タラタラすぎるなとちょっと笑えた。
だってしょうがないじゃん、この1、2ヶ月ずっとあいつと一緒だったんだから。
気をゆるめたらなんか泣きそうで、ちょっと外に出ることにした。
なんとなく着いたのは、あの時真澄と花火を見た橋の上。
柵に腕をついて寄りかかり、ぼーっとまだ青い空を見た。
「終わっちゃうんだなぁ、最後の夏」
今週を過ぎれば授業が始まって、いよいよ受験勉強もちゃんとしなきゃだし。
あーあ、結局なんにもしなかったなー。
ポケットからスマホを取り出して、真澄とのメッセージを見る。
最後に交したのはあの時の電話。
それ以降はスマホでの会話をしてない。
さすがに海外だと簡単に連絡を取り合えないし、たぶん、お互いそんな気もなかった。
この恋は、綺麗さっぱり終わったから。
そんな真澄の名前を横にスライドして、削除のボタンに手をかける。
押そうとして、
「……やめた!」
ぽろりと、一筋だけ涙が零れる。
終わらせるとか、まだ無理だった。
忘れたりなんかできない。
「だって、まだ好きだよ…!!」
こうして私の一瞬の恋は、あの夜空に咲いた大きな花のようにはじけて、散っていくだけだった。