はじけて散っていくだけ
こんなことになったけど、私たちが出会ったのは最近。
きっかけは、……なんだったかな、それすら覚えてないくらいちっぽけな出会いだった。
覚えてるのは、どちらとも制服だったこと。それと、夏のはじまりだったこと。
ま、私たちが通うのは田舎の端っこにある高校で、なんなら今まで話さなかったのが不思議なくらいだ。
暇な時はお互いの部屋に行くけど高校生の甘酸っぱい雰囲気なんかは全くなく、やることはゲームかスマホかマンガを読むくらい。
遊ぶなんてことはしてないし、したことなかった。
「_はずなんですけどねぇ」
ほんとに、なんで一緒に花火なんか行くことになったんだろう。しかも2人で。
はぁ、とため息をつきながら棚の服を漁る私も大概か。
何着てこうと服の山を眺めて数十分、まだ頭をひねらせている。
この前買った、小ぶりの花柄ワンピ?それとも涼し気にキャミソールにシャツを重ねる?デニムもいいな…。
なんて試行錯誤していると、机に置いてあるスマホから着信音が聞こえた。
「もしもし」
『ん、はよ〜』
「起きるの遅すぎでは?」
『はは、夏休みはこんなもんだろ』
時計を見れば、もうそろそろ13時だ。
まぁ、確かに。なんとなく早起きしちゃったのは私だけどさ。
誘ったのそっちのくせに、とちょっとむすっとする。
「どうせ夜更かしでしょ、身長伸びないよ〜」
『177は十分だろ。おまえより20センチは高いし』
「舐めんな私はこれから伸びる!」
『へぇ、期待薄だな』
適当な冗談を言い合い、笑って、結局なんで電話してきたのか分からないまま真澄は切ってしまった。
残ったのは、かすれてていつもより低いあいつの声。
昨日から妙に意識してしまって、じん、と胸が熱くなった。