はじけて散っていくだけ


花火が終わっても鳴っている心臓のうるさい鼓動に、やっぱり、と妙に納得する。

興奮を冷ますようにふぅ、と軽く息を吐いた。

手に持っていたスマホをしまうとき、もう片方の手が動かないことに気づく。


って、うそ、いつから手つないでた!??

やばい。なにがやばいって、この気温と湿度で蒸されて汗がやばい。

それを誤魔化すようにぎゅうぅっと強く手を握る。



「…ふは、いてぇよ」

「んえ、ご、ごめん?」



慌てて手を離そうとしたけど、真澄はぎゅっと力を入れたままだ。

何をするかと思えばそのまま引っ張られて、ぼすんと真澄の腕の中に収まる。

さすがに20センチ以上差があれば、すっぽりと包まれた。


真澄の首筋からは汗の匂いなんて全くしない。
なんなら、爽やかで抱き締められたくなるような甘い香りで、なぜかきゅぅっと胸が切なくなった。



「ま、すみ、?」

「あー、あっちぃ」

「言ってることと行動が嚙み合ってなさすぎる…」



離してくれる気配のない真澄は、文句を言いながら私を抱き込む。
じんわりと滲む汗が気になったけど、構わずにおそるおそる彼の背中に手を伸ばした。

ぴくりと、真澄の肩が跳ねる。



「ふふ、…溶けちゃいそうだね」



きっとこれが、私の答え。

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