青は弾けて消えないで



 私たちのお付き合いが始まったのは、二週間前、夏休み直前の学校でのことがきっかけだった。

 私は放課後の教室で友だちのミカと話していて、好きな人の話になって。


「砂羽はそういうの、興味ないでしょ?」


 ミカの質問に、ちょっとだけムキになってしまった。

 なんだか、子ども扱いされてるような気がしたんだ。


「すっ、好きな人、いるよ!」

「えーっ! 誰、誰?」

「せ、青磁くん!」


 本当は、『好きな人』とはちょっと違う。

 青磁くんには、憧れているだけだったから。

 それに、好きになっちゃいけない人だったから。


 けれど私はとっさにそうやって答えてしまって、すぐに後悔した。

 まさかそんなタイミングで、教室に青磁くんが来るなんて。

 しかも、男子数人と一緒に。


「……えっ?」


 顔が青ざめて、それからすぐに赤くなったのが自分でもわかった。

 ミカは私の隣で気まずそうにしていて、青磁くんの周りの男子たちは青磁くんを(はや)し立てる。

 そして青磁くんは、少しだけ驚いたような表情のあとで、優しく微笑んだ。

 それから、信じられないことを言ったんだ。


「じゃあ、付き合おっか。僕も好きだよ、砂羽さん」


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