夏、コンビニ、アイス
おまけ
バイト終わりの夏の夜。
長いキスをした。
大学の同級生と。
「ちょっ…待っ、」
止まんないかもと思いながら彼女のTシャツの中に手を入れたら、ぐっと押され距離を取られた。
「何?」
「お、おわりだよ」
俺が、えー、と言うと、かのーちゃんは困った顔をした。
俺にしたら頑張ったほう。
バイト終わったらすぐに帰りたいけど。
かのーちゃんと喋りたいからコンビニに通って、少しでも長く居れるように毎回あずきバーを買った。
嫌われたくないから、簡単に手出さなかったし、ポニーテールを他の奴に見せたくないなんて口が裂けても言えなかった。
そうやって友達の姿勢を崩さずに来たけど。
さすがに、キスします。
この状況では。
目の前にいる彼女は、俺のことをどう思っているのか。
大事な言葉は聞けてないし、言えてない。
「かのーちゃん。俺、本気出した」
「…え?」
「夏のイベント、全部。俺としよ」
数秒後、彼女はコクリと頷いた。
end