浮気をした王太子はいりません。〜離縁をした元王太子妃は森の奥で、フェンリルパパと子供と幸せに暮らします。

プロローグ

 私、公爵令嬢アーシャ・シシリアは王立学園を卒業後。婚約者、王太子ルールリア・アウスターと結婚して、王太子妃となって早七年の月日が経っていた。

 私達の結婚は陛下が決めた政略結婚だったけど。ルールリアとは仲が良く、私は彼を心から愛していたし、彼も私のことを愛しくれた。

 だけど、その幸せも「ある出来事」のせいで亀裂が入る。


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 丸い月夜の夜。春の訪れをつげる舞踏会が王城の広間で開催されていた。その舞踏会で私の旦那、王太子ルールリアは一人の令嬢と何処かへ姿を消した。

 その令嬢とは、今年に入ってから幾度ルールリアと噂があがる、ギロンド伯爵令嬢ロローナだった。

 来年になればルールリアは、病気を患った陛下の代わりに次期国王となる。もし王妃となった私との間に子を授からなかった場合。彼は王家の血を残すため、数人の側妃を娶らなくてはならない。

 その時がきたら話し合いで決めましようと。
 昨夜、二人で話をしたばかりなのに、私はルールリアに裏切られた。

(こんな、酷い裏切りの仕方はないわ)
 
 それにしても、春の訪れを告げる大切な舞踏会の終わりまで待てないなんて、盛りのついたなんとやらね。
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