浮気をした王太子はいりません。〜離縁をした元王太子妃は森の奥で、フェンリルパパと子供と幸せに暮らします。
96
「ここより先が赤竜の国だヨ。マキロの森とは違う見た目の違いに、驚くと思ウ」
(赤竜、テトはドラゴンだったのね)
前を行くテトは森の北にある洞窟の前で足を止めて、私たちにそう言った。私とチェルは、シシの耐熱魔法で暑さには耐えられるようにはなったが。どんなドラゴン達の国かわからなくて、ドキドキしている。
「アーシャ、チェル、僕の耐熱魔法で暑さには耐えられるけど、色々触らないでね」
「ええ、わかったわ」
「うん、パパ」
チェルも、ナナちゃんへの手紙に新しい事が書けるから喜んでいた。そんな私とチェルにため息をつくもの、テトの後をついて洞窟の中へと足を進めた。
この洞窟の中はダンジョンとなっていて、モンスターがいるがテトとシシがいるからか、ダンジョンのモンスターは出てこず洞窟の奥、入り口のある壁まで安全についた。
(ダンジョンなのにモンスターが一つも出ないなんて、ドラゴンのテトと、フェンリルのシシはさすが強いわね)
テトは行き止まりの壁に手をつき、己の魔力を込めると見たことがない魔法陣が浮かび国への扉が開く。それに私はシシの背中の上で釘付けになる。この旅を始めたからいろんなことが起こった。南の森のエルフは巨木の中、西の森のドワーフは岩の中、北の森のドラゴンはダンジョンの壁の中。
(人は簡単に入れない? いいえ、入れないようにしているのね。まあ、テトは相手を探して国へと連れて行くけど……)
「いい? 行くヨ」
テトの後に続き、私たちは赤竜の国へと入る。
ダンジョンの壁を通り抜けて入った、私たちの前に広がる王都のような大きな赤竜の国の入り口と、その奥に聳える(そびえる)木々の生えない、私の目には砂山のような岩山が見えた。
(レンガの道と家が立ち並んでいるわ)
「ここは赤竜の国、ササロの街。ここに住む、住人のほとんどは古竜語を話すかラ、話が通じないかモ」
――古竜語?
「テト、それは大丈夫。僕は古竜語を話せるから、アーシャとチェルは安心してね」
(シシが話せるのも、古竜語もはじめて聞いた。どんな言葉を話すのか気になるけど。今は魔王の心臓のカケラが先ね)
「シシ、通訳をお願いするわ」
「パパ、すごい」
「フフ、まかせてね!」
「じゃ僕の家に行こう」と、街の中を進むテト。街の人たちは私たちを見て、テトを見た。それに気付きテトは私のわからない言葉を、人々に話した。
「アーシャ、チェル、テトは僕たちを客人と紹介しているよ」
「そう、皆に僕の客人だと伝えタ」
(いま話した言葉が古竜語なのか……)
見上げると街を見下ろすように奥の奥、岩山のてっぺんに崩れた古城が見えた。私はその山のてっぺんが気になり聞いた。
「ねえ、あの岩山の古城は何?」
「ああ、あの古城の話ト、この辺の話もしないといけないネ」
テトは歩きながら私たちに、ここ赤竜の国ソソロの奥は砂と岩ばかりの、草木の生えない土地で街を出て奥へ進むと、マグマが流れていると教えてくれた。
「……マグマは危険ね」
「そソ、危険だから街の外へは迷っちゃうから、シシ達だけでいかないでネ」
「大丈夫、わかっている」
そしてテトはササロを抜けた先、岩山のてっぺんに見える、崩れた古城は魔王城だとも教えてくれた。
(赤竜、テトはドラゴンだったのね)
前を行くテトは森の北にある洞窟の前で足を止めて、私たちにそう言った。私とチェルは、シシの耐熱魔法で暑さには耐えられるようにはなったが。どんなドラゴン達の国かわからなくて、ドキドキしている。
「アーシャ、チェル、僕の耐熱魔法で暑さには耐えられるけど、色々触らないでね」
「ええ、わかったわ」
「うん、パパ」
チェルも、ナナちゃんへの手紙に新しい事が書けるから喜んでいた。そんな私とチェルにため息をつくもの、テトの後をついて洞窟の中へと足を進めた。
この洞窟の中はダンジョンとなっていて、モンスターがいるがテトとシシがいるからか、ダンジョンのモンスターは出てこず洞窟の奥、入り口のある壁まで安全についた。
(ダンジョンなのにモンスターが一つも出ないなんて、ドラゴンのテトと、フェンリルのシシはさすが強いわね)
テトは行き止まりの壁に手をつき、己の魔力を込めると見たことがない魔法陣が浮かび国への扉が開く。それに私はシシの背中の上で釘付けになる。この旅を始めたからいろんなことが起こった。南の森のエルフは巨木の中、西の森のドワーフは岩の中、北の森のドラゴンはダンジョンの壁の中。
(人は簡単に入れない? いいえ、入れないようにしているのね。まあ、テトは相手を探して国へと連れて行くけど……)
「いい? 行くヨ」
テトの後に続き、私たちは赤竜の国へと入る。
ダンジョンの壁を通り抜けて入った、私たちの前に広がる王都のような大きな赤竜の国の入り口と、その奥に聳える(そびえる)木々の生えない、私の目には砂山のような岩山が見えた。
(レンガの道と家が立ち並んでいるわ)
「ここは赤竜の国、ササロの街。ここに住む、住人のほとんどは古竜語を話すかラ、話が通じないかモ」
――古竜語?
「テト、それは大丈夫。僕は古竜語を話せるから、アーシャとチェルは安心してね」
(シシが話せるのも、古竜語もはじめて聞いた。どんな言葉を話すのか気になるけど。今は魔王の心臓のカケラが先ね)
「シシ、通訳をお願いするわ」
「パパ、すごい」
「フフ、まかせてね!」
「じゃ僕の家に行こう」と、街の中を進むテト。街の人たちは私たちを見て、テトを見た。それに気付きテトは私のわからない言葉を、人々に話した。
「アーシャ、チェル、テトは僕たちを客人と紹介しているよ」
「そう、皆に僕の客人だと伝えタ」
(いま話した言葉が古竜語なのか……)
見上げると街を見下ろすように奥の奥、岩山のてっぺんに崩れた古城が見えた。私はその山のてっぺんが気になり聞いた。
「ねえ、あの岩山の古城は何?」
「ああ、あの古城の話ト、この辺の話もしないといけないネ」
テトは歩きながら私たちに、ここ赤竜の国ソソロの奥は砂と岩ばかりの、草木の生えない土地で街を出て奥へ進むと、マグマが流れていると教えてくれた。
「……マグマは危険ね」
「そソ、危険だから街の外へは迷っちゃうから、シシ達だけでいかないでネ」
「大丈夫、わかっている」
そしてテトはササロを抜けた先、岩山のてっぺんに見える、崩れた古城は魔王城だとも教えてくれた。