浮気をした王太子はいりません。〜離縁をした元王太子妃は森の奥で、フェンリルパパと子供と幸せに暮らします。
10
食事をはじめてすぐ、森の奥で魔物の異様な雄叫びが聞こえた。瘴気により凶暴化した魔物が、こちらに来るかもと私は杖を取り出し。シシは食事の手を止めて、雄叫びが聞こえた方角をしばらく見ていた。
「パパ、ママ?」
「チェル、大丈夫よ」
「ああ、ママの言う通り大丈夫……いまの雄叫びは瘴気に苦しむ魔物の声だ。ここに力の強いボクがいるから、魔物は来ない」
そう話したシシは再び、魔物が雄叫びを上げた森の方角を見ている。
(さいきん、森の瘴気が濃くなった事をシシも気付いている。フェンリルのシシは瘴気耐性があり、私は浄化魔法が使えチェルを守れるけど……他の人たちは? ……って、私がここで考えてもなにもできないか)
「シシがいてくれて心強いわ。今日も美味しいお肉をありがとう」
「どういたしまして。ところでアーシャ、シシカバの街にはいつ頃行く?」
シシカバの街?
「素材売りと薬の納品かぁ。そうね。シシがとってきてくれた素材もけっこう集まったし、私も薬とポーションを作ったから……」
「だったら、ママ、明日行こう!」
「おお明日か、いいな。アーシャ、明日街に行かないか?」
あらあら、さっきお風呂場で話し合わせをしたのかな、二人の瞳が輝いている。
「フフ、シシとチェルはシシカバにある、ローレルの苺のケーキが食べたいのね?」
「「うっ」」
当たったらしく、似たもの親子は両手をあげ、同じポーズで驚いた。カサロの森近くの街にあるローレルのケーキ屋、そこで売られている、クリームタップリの苺のケーキは二人の大好物だ。
(前に、街へ行ったのは一ヶ月前だから)
「わかった。明日、みんなでシシカバの街に行きましょう」
「ヤッタァ! 苺のケーキ!」
「パパ、ボクも苺のケーキ大好き」
「ママも好きよ」
翌日、シシカバの街に向かうというより、私が魔法で街の近くまで転移する。人型となったシシと、チェルは襟に花の刺繍をしたお揃いのシャツと、スラックスに着替えた。私も二人と同じ刺繍をしたワンピースに着替える。
「ママ、準備できたよ」
「アーシャ、どこか変なところはないか?」
「あら、二人ともステキよ。あとコレは私からプレゼント」
お揃いの革製のカバンを二人に渡す。このカバンは私が空間魔法をかけ家族の刺繍を施した、中にたくさんの物をしまえるマジックバッグだ。
「パパ見て! ここにボクとパパ、ママの刺繍がしてある、可愛いね」
「おおこれは、可愛いな」
「ママのバッグは?」
「ママも、みんなとお揃いよ」
チェルは家族お揃いのカバンを見て、花が咲いたように笑った。そのカバンに作った薬とポーション、シシが集めた素材を入れて、私たちはシシカバの街へ出掛けたのだった。
「パパ、ママ?」
「チェル、大丈夫よ」
「ああ、ママの言う通り大丈夫……いまの雄叫びは瘴気に苦しむ魔物の声だ。ここに力の強いボクがいるから、魔物は来ない」
そう話したシシは再び、魔物が雄叫びを上げた森の方角を見ている。
(さいきん、森の瘴気が濃くなった事をシシも気付いている。フェンリルのシシは瘴気耐性があり、私は浄化魔法が使えチェルを守れるけど……他の人たちは? ……って、私がここで考えてもなにもできないか)
「シシがいてくれて心強いわ。今日も美味しいお肉をありがとう」
「どういたしまして。ところでアーシャ、シシカバの街にはいつ頃行く?」
シシカバの街?
「素材売りと薬の納品かぁ。そうね。シシがとってきてくれた素材もけっこう集まったし、私も薬とポーションを作ったから……」
「だったら、ママ、明日行こう!」
「おお明日か、いいな。アーシャ、明日街に行かないか?」
あらあら、さっきお風呂場で話し合わせをしたのかな、二人の瞳が輝いている。
「フフ、シシとチェルはシシカバにある、ローレルの苺のケーキが食べたいのね?」
「「うっ」」
当たったらしく、似たもの親子は両手をあげ、同じポーズで驚いた。カサロの森近くの街にあるローレルのケーキ屋、そこで売られている、クリームタップリの苺のケーキは二人の大好物だ。
(前に、街へ行ったのは一ヶ月前だから)
「わかった。明日、みんなでシシカバの街に行きましょう」
「ヤッタァ! 苺のケーキ!」
「パパ、ボクも苺のケーキ大好き」
「ママも好きよ」
翌日、シシカバの街に向かうというより、私が魔法で街の近くまで転移する。人型となったシシと、チェルは襟に花の刺繍をしたお揃いのシャツと、スラックスに着替えた。私も二人と同じ刺繍をしたワンピースに着替える。
「ママ、準備できたよ」
「アーシャ、どこか変なところはないか?」
「あら、二人ともステキよ。あとコレは私からプレゼント」
お揃いの革製のカバンを二人に渡す。このカバンは私が空間魔法をかけ家族の刺繍を施した、中にたくさんの物をしまえるマジックバッグだ。
「パパ見て! ここにボクとパパ、ママの刺繍がしてある、可愛いね」
「おおこれは、可愛いな」
「ママのバッグは?」
「ママも、みんなとお揃いよ」
チェルは家族お揃いのカバンを見て、花が咲いたように笑った。そのカバンに作った薬とポーション、シシが集めた素材を入れて、私たちはシシカバの街へ出掛けたのだった。