浮気をした王太子はいりません。〜離縁をした元王太子妃は森の奥で、フェンリルパパと子供と幸せに暮らします。
21
薬草を摘みにカサロ湖に来ている。ここは凶暴な魔物が出る森の水辺のほとり、ほかの冒険者はあまり立ち寄らないから、珍しい薬草が生えている。
「パパ、ママ、ミル草がたくさん生えているよ!」
「チェルは見つけるのが、早いわね」
「こら! 二人ともボクから離れるな」
いくら強いフェンリルのシシが側にいるからと。凶暴な魔物がでるカサロ森の湖に来ていることを忘れて、はしゃいでしまう私とチェル。
「チェル、待ちなさい!」
「チェル!」
私も家の外に出ると、肌にピリピリと刺すような魔物たちの殺気を感じる。それが人一倍敏感なシシは私達を守るため神経質になっている。
私と出会った頃のシシは「僕はいつ死んでも構わない、強い敵と戦いたい!」と言った。だけど、チェルが生まれたいまでは「僕は家族を守りたい」「アーシャ、チェルと過ごしたい」と言ってくれる。
(私も、大好きなシシ、チェルと穏やかに過ごしたいわ)
前を走るチェルを抱きしめて、私達を守ってくれる優しいシシに一緒に抱きついた。
「パパ、だいすき!」
「シシ!」
「アーシャとチェルが抱きしめてくれた、うれしいなぁ! さぁ、ミル草摘みの続きを始めよう」
コクンと頷き、家族で仲良くミル草を採取をはじめた。
三人で協力して、ポーションに必要な分のミル草摘みは終わり。シシとチェルは「行くぞ!」と服を脱ぎフェンリルの姿になると、カサロ湖の周りを仲良く親子でかけっこをはじめた。
「パパ、待て!」
「チェル、こい!」
「パパ!」
楽しいひとときは終わり。湖から戻ったチェルは今日のお出かけと、よほどパパとのかけっこが楽しかったのだろう。お昼ご飯中も楽しく話し、食べ終わるとウトウト、お気に入りのフェンリルのぬいぐるみと一緒にソファで眠ってしまった。
「よほど、お出かけが楽しかったんだな」
「ええ、また時間を作っていきましょう」
シシがチェルを抱っこして、部屋に寝かせに向かい。私は調合室で新鮮なミル草を使い、ポーションを作りはじめた。
ポーションはミル草をポーション壺という魔導具に入れて、魔法水と魔力を流しながら煮詰める。いまの時間から五時間くらいポーション壺で煮詰めて、冷やせばポーションが出来上がる。
(今日はたくさんのミル草が採れたから、かなりの数のポーションが作れるわ。そうだ、ポーションを入れる瓶の在庫はあったかしら?)
調合室で一時間くらい作業をしていた。そこにチェルを寝かせたシシが、紅茶と作り置きのクッキーを持って現れる。このクッキーには魔力を回復する薬草が練られている。
「アーシャ少し休んで、ボクと変わろう?」
「ありがとう、少し休むわ」
調合室のソファに座り、シシが入れてくれた紅茶とクッキーをかじった。すぐに魔力の回復を感じる……このカサロの森の奥にしか咲かない、珍しいショーラル花を使って作ったクッキー。
シシと交代で魔力を込めながらポーションを煮込み。五時間後出来上がったポーションを魔法で冷やして、特殊な糸で編まれた魔道具の布でこして、専用の瓶へと移していく。そして瓶の在庫分、七十本ものポーションが出来た。
ギルドの受付嬢が言っていた百本は流石に無理なので、ここから四十本ほど冒険者ギルドに納品することにした。
残りのポーションは浄化の旅ようだから、さらに魔力を込めて最上級のポーションにして、区別できる様に印をつけた。
「ポーションは、これで完成ね!」
出来上がったポーションを見つめていると、ソファで休んでいたシシがそばに来る。
「アーシャ、この三十本……もしかして、最上級のポーション?」
「えぇそうよ。これは納品用じゃないから、わかる様に印を付けておいたわ」
「そっか、お疲れさま。……ふわぁっ、疲れたな。しばらく寝室で一緒に仮眠を取ろうか」
シシはそう言い、私を軽々と、お姫様抱っこ室へと向かった。
「パパ、ママ、ミル草がたくさん生えているよ!」
「チェルは見つけるのが、早いわね」
「こら! 二人ともボクから離れるな」
いくら強いフェンリルのシシが側にいるからと。凶暴な魔物がでるカサロ森の湖に来ていることを忘れて、はしゃいでしまう私とチェル。
「チェル、待ちなさい!」
「チェル!」
私も家の外に出ると、肌にピリピリと刺すような魔物たちの殺気を感じる。それが人一倍敏感なシシは私達を守るため神経質になっている。
私と出会った頃のシシは「僕はいつ死んでも構わない、強い敵と戦いたい!」と言った。だけど、チェルが生まれたいまでは「僕は家族を守りたい」「アーシャ、チェルと過ごしたい」と言ってくれる。
(私も、大好きなシシ、チェルと穏やかに過ごしたいわ)
前を走るチェルを抱きしめて、私達を守ってくれる優しいシシに一緒に抱きついた。
「パパ、だいすき!」
「シシ!」
「アーシャとチェルが抱きしめてくれた、うれしいなぁ! さぁ、ミル草摘みの続きを始めよう」
コクンと頷き、家族で仲良くミル草を採取をはじめた。
三人で協力して、ポーションに必要な分のミル草摘みは終わり。シシとチェルは「行くぞ!」と服を脱ぎフェンリルの姿になると、カサロ湖の周りを仲良く親子でかけっこをはじめた。
「パパ、待て!」
「チェル、こい!」
「パパ!」
楽しいひとときは終わり。湖から戻ったチェルは今日のお出かけと、よほどパパとのかけっこが楽しかったのだろう。お昼ご飯中も楽しく話し、食べ終わるとウトウト、お気に入りのフェンリルのぬいぐるみと一緒にソファで眠ってしまった。
「よほど、お出かけが楽しかったんだな」
「ええ、また時間を作っていきましょう」
シシがチェルを抱っこして、部屋に寝かせに向かい。私は調合室で新鮮なミル草を使い、ポーションを作りはじめた。
ポーションはミル草をポーション壺という魔導具に入れて、魔法水と魔力を流しながら煮詰める。いまの時間から五時間くらいポーション壺で煮詰めて、冷やせばポーションが出来上がる。
(今日はたくさんのミル草が採れたから、かなりの数のポーションが作れるわ。そうだ、ポーションを入れる瓶の在庫はあったかしら?)
調合室で一時間くらい作業をしていた。そこにチェルを寝かせたシシが、紅茶と作り置きのクッキーを持って現れる。このクッキーには魔力を回復する薬草が練られている。
「アーシャ少し休んで、ボクと変わろう?」
「ありがとう、少し休むわ」
調合室のソファに座り、シシが入れてくれた紅茶とクッキーをかじった。すぐに魔力の回復を感じる……このカサロの森の奥にしか咲かない、珍しいショーラル花を使って作ったクッキー。
シシと交代で魔力を込めながらポーションを煮込み。五時間後出来上がったポーションを魔法で冷やして、特殊な糸で編まれた魔道具の布でこして、専用の瓶へと移していく。そして瓶の在庫分、七十本ものポーションが出来た。
ギルドの受付嬢が言っていた百本は流石に無理なので、ここから四十本ほど冒険者ギルドに納品することにした。
残りのポーションは浄化の旅ようだから、さらに魔力を込めて最上級のポーションにして、区別できる様に印をつけた。
「ポーションは、これで完成ね!」
出来上がったポーションを見つめていると、ソファで休んでいたシシがそばに来る。
「アーシャ、この三十本……もしかして、最上級のポーション?」
「えぇそうよ。これは納品用じゃないから、わかる様に印を付けておいたわ」
「そっか、お疲れさま。……ふわぁっ、疲れたな。しばらく寝室で一緒に仮眠を取ろうか」
シシはそう言い、私を軽々と、お姫様抱っこ室へと向かった。