浮気をした王太子はいりません。〜離縁をした元王太子妃は森の奥で、フェンリルパパと子供と幸せに暮らします。

26

 シシから「精霊の地へはいる許可をもらった」と手紙をもらった。早朝、シシ、チェルの朝食を作りアイテムボックスにしまい、私は精霊の地へ行く準備を始めた。

 髪を結い、ワンピースを着て黒いローブをはおる。これで準備は終わり、シシたちがいる精霊の浄化へ向かおう。

「その前に、家の結界を二重にしてと……よし、これでいいわ」

 いまから精霊の地に向かい浄化したあと。午後はシシカバの冒険者のギルドに向かうから、帰りは夕方になるだろう。念の為に家の結界を二重に張り強化してから、私はホウキを取り出して乗った。

(精霊の地、ワクワクするわ。精霊の許可なく、入ることができない。王太子妃の時、浄化に行ったルーレンズの森の奥で見つけてから、気になっていたのよね)

 精霊の事は図鑑などでしか読んだことがない。幻級のモコモコオオカミに会えて。いまから、たくさんの特別な精霊に会えると思うだけで、私はワクワクが止まらなかった。

「シシ、チェル、モコモコオオカミ、いまから向かいます!」

 と、私は他の人に見えなくするため、姿を魔法で消した。



 ホウキに乗り、すぐに西のルーレンズの森につく。森の上を飛び、鑑定魔法を使いルーレンズの森を鑑定した。

(え? この森、カサロの森よりも瘴気がかなり少ない。この森に精霊が住んでいるからかしら?)

 だとすると。

「精霊たちが、森を瘴気から守っている? それとも、この地に何か眠っていて、それを精霊たちが守っている?」

 この精霊の地がいま瘴気に侵されている。もしかすると、この地が何か起きていることになる。

 悔しい。私が、この小説の続きが読めていたら"こうなる事"が、わかっていたかもしれないのに。

(だけど、分からないからと諦めたりしないわ!)

 私の力のすべてを使い守る。それがシシとチェル、お父様とお母様、私の大切な人を守ることになる、と私は思っている。

(この力が、みんなの為になるなら私は頑張れるの)

 気合いを入れ直して私はルーレンズの森の奥にある、精霊の地に向かった。


 私の瞳に映るあの精霊の地への結界。――ここより先が精霊の地、私はドキドキしながら結界の中へとはいった。
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