浮気をした王太子はいりません。〜離縁をした元王太子妃は森の奥で、フェンリルパパと子供と幸せに暮らします。
57
オールの森を浄化している。
多くの森を浄化してきた結果。瘴気が溢れる場所は湖沼(こしょう)沼地、川、洞窟などが多い――でも1番は魔物の亡骸だ。魔物の世界は弱肉強食、強者に敗れた魔物の亡骸から瘴気が溢れ出す。それが多いほど濃い瘴気があたりを覆う。
私たちは森の左側で見つけた沼地の浄化を終えて、次へと向かっていた。そして鑑定魔法で見つけたのが。いたたましい痕が残る中型の魔物の亡骸だった。
「チェル、すぐに目を瞑って。シシも少し離れて」
「ああ、チェル行こう」
「う、うん」
浄化魔法で瘴気を取り除き、火魔法で魔物の亡骸を焼きつくす。魔物化してしまった魔物も、倒したあと食べられる箇所を取り除き。残った部分は焼き尽くさなければならない。少しでも残すと、そこからまた瘴気が発生する。
亡骸を燃やし尽くして、火種が残り森を焼いてしまわないよう、水魔法で火を使用した場所に水を撒いた。
(フウッ、これでいいわね)
「シシ、チェル、浄化が終わったわ。次に行きましょう」
離れでもらった二人を呼んだ。五歳のチェルにはまだ早く、怖がっているかもと思ったけど。約束を守ってシシの側から離れず、私のする事を、真剣な瞳で見つめている。子供だからと侮ってはならない、チェルはチェルなりに考えているのだ。
「ママ、ありがとう。ズッと苦しかったと思うよ」
チェルの言葉に驚く。
「……ええ、苦しさから解放されたわね」
「苦しさから解放されたか。チェルはいい事を言うな」
シシにスリスリと褒められて、照れ笑いをするチェル。この旅でチェルは多くの事を目で見て、体で体験して、たくさんの事を学ぶだろう。
それは怖い事、悲しい事もあるだろう。
私たちが守らなくちゃね。
「アーシャ、近くの魔物はすべて眠らせたぞ!」
「ありがとう、一気にこの原っぱを浄化するわ!」
オールの森で見つけた原っぱに瘴気を吐きだす、毒花が咲いていた。私は原っぱの浄化を終わらせて、アイテムボックスからスケッチブックとペンを取りだし、この植物の絵を描いた。その描いた絵を、手紙猫を呼び寄せ、お父様へと送った。
「アーシャ、変わった花だな」
「ええ、この花が吐く蜜? 紫の煙に誘われて、魔物が集まってきていたわ」
「魔物、たくさんいて……ボク、びっくりしちゃった」
(みずから蜜を吐き出す、花なんて初めてだわ……)
オールの森の浄化をはじめて、二日目の出来事だった。
+
一方、準備が整い王都を出立した近衛騎士ラルと騎士団は、カサロの森近くの目的地の森に到着した。しばし休憩をとったあと、森の中央の瘴気がはびこる池で、商人から貰った魔吸い石のランタンをかかげた。
「お、おお! 瘴気が、この石に吸い込まれていくぞ!」
「ほんとうだ。瘴気が石に吸い込まれて、消えましたね」
「「「やったぞ!」」」
森では、ラルを含めた騎士団は喜びの声を上げた。
多くの森を浄化してきた結果。瘴気が溢れる場所は湖沼(こしょう)沼地、川、洞窟などが多い――でも1番は魔物の亡骸だ。魔物の世界は弱肉強食、強者に敗れた魔物の亡骸から瘴気が溢れ出す。それが多いほど濃い瘴気があたりを覆う。
私たちは森の左側で見つけた沼地の浄化を終えて、次へと向かっていた。そして鑑定魔法で見つけたのが。いたたましい痕が残る中型の魔物の亡骸だった。
「チェル、すぐに目を瞑って。シシも少し離れて」
「ああ、チェル行こう」
「う、うん」
浄化魔法で瘴気を取り除き、火魔法で魔物の亡骸を焼きつくす。魔物化してしまった魔物も、倒したあと食べられる箇所を取り除き。残った部分は焼き尽くさなければならない。少しでも残すと、そこからまた瘴気が発生する。
亡骸を燃やし尽くして、火種が残り森を焼いてしまわないよう、水魔法で火を使用した場所に水を撒いた。
(フウッ、これでいいわね)
「シシ、チェル、浄化が終わったわ。次に行きましょう」
離れでもらった二人を呼んだ。五歳のチェルにはまだ早く、怖がっているかもと思ったけど。約束を守ってシシの側から離れず、私のする事を、真剣な瞳で見つめている。子供だからと侮ってはならない、チェルはチェルなりに考えているのだ。
「ママ、ありがとう。ズッと苦しかったと思うよ」
チェルの言葉に驚く。
「……ええ、苦しさから解放されたわね」
「苦しさから解放されたか。チェルはいい事を言うな」
シシにスリスリと褒められて、照れ笑いをするチェル。この旅でチェルは多くの事を目で見て、体で体験して、たくさんの事を学ぶだろう。
それは怖い事、悲しい事もあるだろう。
私たちが守らなくちゃね。
「アーシャ、近くの魔物はすべて眠らせたぞ!」
「ありがとう、一気にこの原っぱを浄化するわ!」
オールの森で見つけた原っぱに瘴気を吐きだす、毒花が咲いていた。私は原っぱの浄化を終わらせて、アイテムボックスからスケッチブックとペンを取りだし、この植物の絵を描いた。その描いた絵を、手紙猫を呼び寄せ、お父様へと送った。
「アーシャ、変わった花だな」
「ええ、この花が吐く蜜? 紫の煙に誘われて、魔物が集まってきていたわ」
「魔物、たくさんいて……ボク、びっくりしちゃった」
(みずから蜜を吐き出す、花なんて初めてだわ……)
オールの森の浄化をはじめて、二日目の出来事だった。
+
一方、準備が整い王都を出立した近衛騎士ラルと騎士団は、カサロの森近くの目的地の森に到着した。しばし休憩をとったあと、森の中央の瘴気がはびこる池で、商人から貰った魔吸い石のランタンをかかげた。
「お、おお! 瘴気が、この石に吸い込まれていくぞ!」
「ほんとうだ。瘴気が石に吸い込まれて、消えましたね」
「「「やったぞ!」」」
森では、ラルを含めた騎士団は喜びの声を上げた。