浮気をした王太子はいりません。〜離縁をした元王太子妃は森の奥で、フェンリルパパと子供と幸せに暮らします。
67
ここはアウスターの王都、王城のルールリアの執務室。ルールリアは執務をしながら、執務机に置いたランタン魔吸い石を見てニンマリした。
(怪しかったが。あの商人がくれたランタンは凄い効果だ。これさえあれば瘴気が払える)
王都の周りに遠征した騎士団から、森の瘴気をこのランタンで払ったと報告を受けた。しかし、騎士団が瘴気を払ったと国民達に伝えるのは、少々信憑性にかける。
――こう国民が喜ぶ人物……誰がよいか。
「そうだ、ロローナを聖女にすれば良い。彼女なら上手く聖女の役をやってくれるだろうし、文句ばかり言う父上と母上も喜ぶだろう」
ルールリアはすぐ側近と近衛騎士ラルを呼び、王都にある新聞社へと向かわせた。翌日、アウスター国に聖女誕生と書かれた、号外が国民達に配られた。
この号外をみた国民は喜び、聖女誕生を喜んだ。
そしてルールリアがロローナに聖女になったと伝えると、彼女は大喜びだった。
「え、私が聖女になったの? すごい~がんばる」
「一週間後、国民へお披露目をするから、新しいドレスを作ろう」
「うれしい! ドレスは可愛いのがいいわ」
そんなこんなで王都に、ニセの聖女ロローナが誕生したのだった。
+
王都から離れた南のオールの森にいる。私たちは早朝、前日訪れたエルフの村へと向かい、浄化魔法を使用した。長のアギの体調もよくなり、エルフ達、生命の木の精霊トマも元気になった。
「これでよし。しばらくは大丈夫だと思います」
「ありがとう、体が嘘みたいに軽い。こんな日がくるとは思っていなかった。シシの嫁さんがきてくれて助かった」
〈えぇほんと後少し遅かったら危なかったわね。ほんとうに助かったわ。お礼にこれを持って行って〉
精霊のトマから、生命の木の枝で作ったお守りを家族分もらった。この生命の木の枝は、触れば怪我の回復をしてくれる貴重な物だ。
「貴重な物をありがとうございます、大切に使います」
「ありがとう、お姉ちゃん」
「悪いな、大切に使わせてもらうよ」
エルフの村はこれで安心だと。私たちはオールの森を見てまわるため、森へ戻ろうとした。その私たちをアギが呼び止めて、西側の海近くにあるリポの森に住む、ドワーフたちを助けてやってほしいと言った。
「ドワーフに何かあったのか?」
「ああ、オレたちとドワーフはあまり仲が良くはないが……あちらの森も瘴気に覆われたと。今朝、ドワーフが使用する「知らせ鳥」が知らせにきた」
「なに、知らせ鳥がきたのか!」
アギは頷く。
「ドワーフたちは知らせ鳥を飛ばして、他の種族に助けを求めている。準備ができしだい向かおうと思うが……オレたちも瘴気が消えたばかりで、すぐには行けないし。他の種族が、どう動いたのかわからない」
「わかった。オールの森を見まわったすぐ、西のリポの森に行くよ」
ありがとう、と私たちはアギたちと別れ、エルフ村からオールの森に戻った。
(怪しかったが。あの商人がくれたランタンは凄い効果だ。これさえあれば瘴気が払える)
王都の周りに遠征した騎士団から、森の瘴気をこのランタンで払ったと報告を受けた。しかし、騎士団が瘴気を払ったと国民達に伝えるのは、少々信憑性にかける。
――こう国民が喜ぶ人物……誰がよいか。
「そうだ、ロローナを聖女にすれば良い。彼女なら上手く聖女の役をやってくれるだろうし、文句ばかり言う父上と母上も喜ぶだろう」
ルールリアはすぐ側近と近衛騎士ラルを呼び、王都にある新聞社へと向かわせた。翌日、アウスター国に聖女誕生と書かれた、号外が国民達に配られた。
この号外をみた国民は喜び、聖女誕生を喜んだ。
そしてルールリアがロローナに聖女になったと伝えると、彼女は大喜びだった。
「え、私が聖女になったの? すごい~がんばる」
「一週間後、国民へお披露目をするから、新しいドレスを作ろう」
「うれしい! ドレスは可愛いのがいいわ」
そんなこんなで王都に、ニセの聖女ロローナが誕生したのだった。
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王都から離れた南のオールの森にいる。私たちは早朝、前日訪れたエルフの村へと向かい、浄化魔法を使用した。長のアギの体調もよくなり、エルフ達、生命の木の精霊トマも元気になった。
「これでよし。しばらくは大丈夫だと思います」
「ありがとう、体が嘘みたいに軽い。こんな日がくるとは思っていなかった。シシの嫁さんがきてくれて助かった」
〈えぇほんと後少し遅かったら危なかったわね。ほんとうに助かったわ。お礼にこれを持って行って〉
精霊のトマから、生命の木の枝で作ったお守りを家族分もらった。この生命の木の枝は、触れば怪我の回復をしてくれる貴重な物だ。
「貴重な物をありがとうございます、大切に使います」
「ありがとう、お姉ちゃん」
「悪いな、大切に使わせてもらうよ」
エルフの村はこれで安心だと。私たちはオールの森を見てまわるため、森へ戻ろうとした。その私たちをアギが呼び止めて、西側の海近くにあるリポの森に住む、ドワーフたちを助けてやってほしいと言った。
「ドワーフに何かあったのか?」
「ああ、オレたちとドワーフはあまり仲が良くはないが……あちらの森も瘴気に覆われたと。今朝、ドワーフが使用する「知らせ鳥」が知らせにきた」
「なに、知らせ鳥がきたのか!」
アギは頷く。
「ドワーフたちは知らせ鳥を飛ばして、他の種族に助けを求めている。準備ができしだい向かおうと思うが……オレたちも瘴気が消えたばかりで、すぐには行けないし。他の種族が、どう動いたのかわからない」
「わかった。オールの森を見まわったすぐ、西のリポの森に行くよ」
ありがとう、と私たちはアギたちと別れ、エルフ村からオールの森に戻った。