浮気をした王太子はいりません。〜離縁をした元王太子妃は森の奥で、フェンリルパパと子供と幸せに暮らします。
68
オールの森に戻ると、森の瘴気が薄くなった気がした。もしかして。エルフの森の、生命の木を浄化したからだろうか。そんなことを考えながら、浄化魔法を使っていた。
(ほんとうなら喜ばしいことだし。これくらいの瘴気なら、ホウキに乗って、上から浄化魔法が使えるわ)
瘴気を見つけ、浄化をしながら進む私の後をついてくる、フェンリルのシシと。今日は子フェンリルにならず、シシの背中の上でナナちゃんへ送る、絵を描くチェルに振り向いて声をかけた。
「ねぇシシ、チェル。ホウキに乗って浄化してもいい? これくらいの瘴気なら。西側の森すべてを浄化しても、まだ魔力が残るわ」
あと少しで南側の森の浄化は終わるから、次の場所へと移動する前に提案した。その提案にシシは「アーシャが無理をしないなら、いい」と言ってくれた。
「南側の浄化が終わったら。西側はホウキに乗って、空から浄化するわ」
「西側か……スノーロップの花畑があるところだね。その花畑まで移動するから、アーシャもボクの背に乗って」
「ありがとう、シシ。よろしく」
「パパ、ありがと」
私はしゃがんでくれたシシの背に乗り、西側のスノーロップの花が咲く花畑を目指した。私とチェルを乗せて、森をかけるシシ。その背中から見える、森の中はやはり瘴気が薄れていた。
(この調子で浄化が進めば。明日で、オールの森の浄化は終わる。次の浄化場所は西側の海沿いの、ドワーフが住む、リポの森ね)
その森に住む、ドワーフの居場所は。エルフの長、アギの話で、巨大な岩の中だと教えてもらった。シシの走るスピードが徐々に遅くなり、私たちはスノーロップの花畑についた。
このスノーロップの花は煎じてお茶にすれば、風邪予防になる。他の薬草で風邪予防は作ってきたけど、スノーロップはこの森にしか生えない花だ。
(この浄化が終わったら、採取しましょう)
「シシ、チェル、浄化へ行ってくるわ」
ホウキを取り出して、私は空高く飛び上がった。
アウスターの国中へ、聖女の誕生は瞬く間に広がった。
だが魔吸い石は王都周辺にある森でしか使用していないし、この石を使用しているのは聖女となったロローナではなく、騎士団だった。
だが、すでに国民たちへ聖女が誕生したと伝えたのだ。
聖女が直々に森へ出向き、消化するところを国民たちへ見せなくてはならない。しかし、王妃教育すら嫌がってやらないロローナが……浄化をするために森へ行ってくれるのか。
(ロローナが嫌だと言ったら、代理を立てるしかない。まあ一応、聞いてみるか)
ルールリアは半ば諦めて「浄化をするため、森へ行ってくれるか」と聞くと。ロローナは笑顔で「私、聖女だし。いいわよ」とこたえた。
(なに? 面倒ではないのか?)
あまりにも、あっけらかんとこたえた彼女に、ルールリアは驚きを隠せなかった。
(ほんとうなら喜ばしいことだし。これくらいの瘴気なら、ホウキに乗って、上から浄化魔法が使えるわ)
瘴気を見つけ、浄化をしながら進む私の後をついてくる、フェンリルのシシと。今日は子フェンリルにならず、シシの背中の上でナナちゃんへ送る、絵を描くチェルに振り向いて声をかけた。
「ねぇシシ、チェル。ホウキに乗って浄化してもいい? これくらいの瘴気なら。西側の森すべてを浄化しても、まだ魔力が残るわ」
あと少しで南側の森の浄化は終わるから、次の場所へと移動する前に提案した。その提案にシシは「アーシャが無理をしないなら、いい」と言ってくれた。
「南側の浄化が終わったら。西側はホウキに乗って、空から浄化するわ」
「西側か……スノーロップの花畑があるところだね。その花畑まで移動するから、アーシャもボクの背に乗って」
「ありがとう、シシ。よろしく」
「パパ、ありがと」
私はしゃがんでくれたシシの背に乗り、西側のスノーロップの花が咲く花畑を目指した。私とチェルを乗せて、森をかけるシシ。その背中から見える、森の中はやはり瘴気が薄れていた。
(この調子で浄化が進めば。明日で、オールの森の浄化は終わる。次の浄化場所は西側の海沿いの、ドワーフが住む、リポの森ね)
その森に住む、ドワーフの居場所は。エルフの長、アギの話で、巨大な岩の中だと教えてもらった。シシの走るスピードが徐々に遅くなり、私たちはスノーロップの花畑についた。
このスノーロップの花は煎じてお茶にすれば、風邪予防になる。他の薬草で風邪予防は作ってきたけど、スノーロップはこの森にしか生えない花だ。
(この浄化が終わったら、採取しましょう)
「シシ、チェル、浄化へ行ってくるわ」
ホウキを取り出して、私は空高く飛び上がった。
アウスターの国中へ、聖女の誕生は瞬く間に広がった。
だが魔吸い石は王都周辺にある森でしか使用していないし、この石を使用しているのは聖女となったロローナではなく、騎士団だった。
だが、すでに国民たちへ聖女が誕生したと伝えたのだ。
聖女が直々に森へ出向き、消化するところを国民たちへ見せなくてはならない。しかし、王妃教育すら嫌がってやらないロローナが……浄化をするために森へ行ってくれるのか。
(ロローナが嫌だと言ったら、代理を立てるしかない。まあ一応、聞いてみるか)
ルールリアは半ば諦めて「浄化をするため、森へ行ってくれるか」と聞くと。ロローナは笑顔で「私、聖女だし。いいわよ」とこたえた。
(なに? 面倒ではないのか?)
あまりにも、あっけらかんとこたえた彼女に、ルールリアは驚きを隠せなかった。