浮気をした王太子はいりません。〜離縁をした元王太子妃は森の奥で、フェンリルパパと子供と幸せに暮らします。
7
カサロの森に建つ、家の周りには元の持ち主の結界、家の中の珍しい魔道具で溢れ、外には魔物避けの草が何種類か植えられていた。そのため、凶暴な魔物達はこの家に近付けない。
(家の地主の魔法と魔導具、薬草の知識はすごいわ。書庫、部屋に本が一冊も残っていないのが残念だったわ)
そして、私たちを守ってくれる。
真っ白で、大きなフェンリルがいる。
シシ、フェンリルの彼と出会ったのはここに引っ越しをして、ちょうど一ヶ月くらい。魔除けの草をつけてカサロの森で薬草採取の途中。魔物と戦いキズを負った真っ白なオオカミを見つけて、私が魔法でキズを治したのが始まり。
この森に住む他の凶暴な魔物たちとは違い、彼は人の言葉を話した。
『グルルル。――ニンゲン、僕に近付くな』
『イヤよ、あなた怪我をしているわ。いま、魔法でキズを癒すから』
『ククク、ガハハハ――! 怪物と呼ばれる僕のケガをニンゲンが治すだと? こんなキズ、ほっておけば時期に治る』
『そうだと思うけど……傷が治るまで、そうとう痛いたいんじゃない?』
グッと押し黙った、フェンリルのお腹がゴォォォと豪快に鳴った。
『あなた、お腹空いているの? 私、オニギリなら持っているけど、食べる?』
『オニギリ? 聞いたことがない食べ物だ』
『モチモチしていて甘くて、美味しいわよ』
持ってきたお弁当箱の蓋を開け、実物を見て匂いを嗅ぐと、彼の口元からヨダレがジュルッと垂れた。
『フフ。オオカミさん、どうぞ』
『オオカミさんじゃない、フェンリルだ!』
『フェンリル?』
書庫にある多くの書物には怖い獣、怪物だと書かれているフェンリル。実際に出会った彼は真っ白で、モフモフ……その姿が私には可愛みえた。
『たくさんあるから、一緒に食べましょう』
『……君は、僕が怖くないのか?』
『怖くないけど』
『そう……いただく』
コメは小麦と同じく、アウスターで採れる作物。
貴族達は硬い、パサパサしていて美味しくないといって食べない。だが、コメはアウスターに住む平民たちの主食だ。取れる量も多く、町や村で安く手に入るし、なんといっても美味しい。
前世の記憶を持つ私は喜んで、コメを炊き美味しくいただいている。お父様たちにも炊き方を伝えているので、公爵家で米は小麦につぐ主食になっている。
オニギリを彼の口に運ぶと、パクッと私が作ったオニギリを食べてくれた。彼には小さいオニギリだけど、食べたすぐ目を光らせ。
『こ、これは! 君の言う通り……もちもち、甘くて美味いな』
『そうでしょう。近くの家に帰ればもっとあるけど……食べに来ます?』
『行く! 僕はシシ、君は?』
『私はアーシャよ。シシ、よろしくね』
(家の地主の魔法と魔導具、薬草の知識はすごいわ。書庫、部屋に本が一冊も残っていないのが残念だったわ)
そして、私たちを守ってくれる。
真っ白で、大きなフェンリルがいる。
シシ、フェンリルの彼と出会ったのはここに引っ越しをして、ちょうど一ヶ月くらい。魔除けの草をつけてカサロの森で薬草採取の途中。魔物と戦いキズを負った真っ白なオオカミを見つけて、私が魔法でキズを治したのが始まり。
この森に住む他の凶暴な魔物たちとは違い、彼は人の言葉を話した。
『グルルル。――ニンゲン、僕に近付くな』
『イヤよ、あなた怪我をしているわ。いま、魔法でキズを癒すから』
『ククク、ガハハハ――! 怪物と呼ばれる僕のケガをニンゲンが治すだと? こんなキズ、ほっておけば時期に治る』
『そうだと思うけど……傷が治るまで、そうとう痛いたいんじゃない?』
グッと押し黙った、フェンリルのお腹がゴォォォと豪快に鳴った。
『あなた、お腹空いているの? 私、オニギリなら持っているけど、食べる?』
『オニギリ? 聞いたことがない食べ物だ』
『モチモチしていて甘くて、美味しいわよ』
持ってきたお弁当箱の蓋を開け、実物を見て匂いを嗅ぐと、彼の口元からヨダレがジュルッと垂れた。
『フフ。オオカミさん、どうぞ』
『オオカミさんじゃない、フェンリルだ!』
『フェンリル?』
書庫にある多くの書物には怖い獣、怪物だと書かれているフェンリル。実際に出会った彼は真っ白で、モフモフ……その姿が私には可愛みえた。
『たくさんあるから、一緒に食べましょう』
『……君は、僕が怖くないのか?』
『怖くないけど』
『そう……いただく』
コメは小麦と同じく、アウスターで採れる作物。
貴族達は硬い、パサパサしていて美味しくないといって食べない。だが、コメはアウスターに住む平民たちの主食だ。取れる量も多く、町や村で安く手に入るし、なんといっても美味しい。
前世の記憶を持つ私は喜んで、コメを炊き美味しくいただいている。お父様たちにも炊き方を伝えているので、公爵家で米は小麦につぐ主食になっている。
オニギリを彼の口に運ぶと、パクッと私が作ったオニギリを食べてくれた。彼には小さいオニギリだけど、食べたすぐ目を光らせ。
『こ、これは! 君の言う通り……もちもち、甘くて美味いな』
『そうでしょう。近くの家に帰ればもっとあるけど……食べに来ます?』
『行く! 僕はシシ、君は?』
『私はアーシャよ。シシ、よろしくね』