浮気をした王太子はいりません。〜離縁をした元王太子妃は森の奥で、フェンリルパパと子供と幸せに暮らします。

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 ドワーフにはドワーフのやり方か、それならあとは彼らに任せたほうがいい。チェルと戯れるワーグの子供のグゥも、ドワーフの彼らが面倒を見るといってくれた。

(この洞窟も浄化されて、もう瘴気もなさそうだし。私たちの役割も終わったかしら?)

 杖を持ちなら私は、洞窟の中を見渡した。
 隣にいたアギが、ふうっと息を吐く。

「よかった……スノ、終わったなら俺は里に帰るな。何かあったら"知らせ鳥"を飛ばしてくれ、すぐ駆けつける」

「あい、わかった。互いに暇ができたら酒を飲もうな」
「ああ、またな」

 私達とスノに、アギは手を振りエルフの里に帰っていく。私達も終わったのなら、ここドワーフの住処を離れて、何処かで休憩しようとシシと話した。

「そうだな、動いて腹も減ったし。どこか野営できる場所を見つけて、今日は休もう」

「ええ、そうしましょう。チェル、行くわよ」
「うん、グゥまたね」
「グゥ、グゥ?」
「いいよ。パパとママと会いにくるね」
「グゥ!」

 チェルとグゥが「また会おうね」と戯れあう。チェルに、精霊のナナちゃん以外にも新しいお友達ができた。これは喜ばしいこと。

 ――この浄化の旅が終わったら会いに来ようね。
 

「ドワーフのスノ、僕たちも行くね」
 
「おう! フェンリルのシシ、その奥様、子供様、ありがとう、助かりましたのじゃ」

「そうだ、まだ動けるドワーフが少ないと思うから。傷薬とポーションなどの薬と、お肉などの食料も置いていくわ」

「シシの奥様、助かりますのじゃ。何か渡したいが、奥様達に合う武器を作るには。一度くわしく調べなくてはならない空の。みなさまに時間ができたときに来てくだされ、そのときにお礼をしますのじゃ」

「ドワーフの武器か、それは楽しみだな」
「うれしい、楽しみにしております」

 スノにまた追う約束をしてシシに乗り、ドワーフの住処の外に出ると、目の前に金色に光る玉がふわふわ浮いていた。

 シシはその玉が、何がわかったのか。

「ドワーフの住処は心配しなくても大丈夫だ。いまは無理かもしれないが、しばらくしたらスノがドワーフ酒を持って「会いに行く」と言っていたから、気長に待っていてください」

 玉はシシの話に、私達の周りをふわふわと飛び「ありがとう」と、一言だけ言うと消えていった。

「パパ、ママ消えた?」
「ええ、消えたわね。シシ、いまの玉……もしかして」
 
「ああ、神のポストン様だよ。ドワーフ達に何かあった事がわかったけど、これより先は入れなかったのだろうな」

 さぁ行こう、とシシは森の中へと走りだした。
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