浮気をした王太子はいりません。〜離縁をした元王太子妃は森の奥で、フェンリルパパと子供と幸せに暮らします。
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シシが魔法で出した幻影でなく、私たちに飛びついたのは長く赤い髪と黒いツノ、背中に羽が生え、お尻には長い鱗状の尻尾がついた男性。その男性が身に付けているのは、この辺りでは見たことがない金の刺繍がはいった、ベルベット生地の民族衣装だった。
男性はシシのモフモフな胸に飛びついたまま、オイオイ泣き出した。
「シシ、シシ~。た、助けてくれヨ~」
「あ、ああ? ……テト、なにがあった?」
「シシ、魔王~ネ。いま森で連れ去った女性が、魔王の砕けた心臓のカケラを持っていたネ」
(魔王の砕けた心臓? そんな話し、あの小説に出てきた?)
初めての内容に驚く私と、その話を聞いてシシは体を一瞬ブルっと震わせた。
「はぁ? まて、テトが森で連れ去った女性が、魔王の砕けた心臓のカケラを持っていただと? アレは大昔、勇者に壊された後、魔法使いが厳重に封印の魔法をかけただろう!」
男性は、シシに抱きつきながらウンウンと頷いた。
「かけていたヨ。でも、その女性がカケラを持っていたネ。アレは間違いないヨ」
二人の話をシシの背中でチェルを抱っこしながら、私は頭の中を整理した。私が知っている小説の内容は学園と、アーシャが婚約破棄を言い渡され、国外追放される学園卒業までだ。
(となると、次の巻は魔王が出てくる話になるのね? いまシシと男性が話している魔王を、聖女ロローナとルールリア王太子殿下、騎士団が倒す話し? 面白そう読みたかったわ)
マキロの森に入ったすぐ、赤く長い髪の男性がシシに抱きつき「なんとかしてくれヨ!」と泣いている。シシは魔王聞いたがまだ半信半疑らしく、眉をひそめていた。
「トキ、魔王は勇者に倒された。おまえの見間違いで、連れて行ったが苦手な女性だったんだろう」
「違ウ! ピンク色の髪の可愛い、好みの女性だったヨ。でも手に可愛くないモノを持ってタ」
彼の話からすると、連れ去った女性の手に持っていた、ランタンの中に魔王の心臓のカケラが入っていた。それを見た彼はブルブル震え上がり、どうしたらいいのかと考えたと同時に。シシの力をマキロの森に感じて、急いでココへと飛んできたと話した。
「ぜったいに魔王の復活はやだヨ! また仲間が使い捨てにされるシ。僕たちの平和がなくなル!」
「そうだね。魔王は暴君でわがままだから、このまま復活せず眠っていてほしいね。魔力がある、可愛い僕のアーシャが狙われそうだ!」
その男性、テトはシシの口から可愛いアーシャと聞き、シシのモフモフの胸元から顔を上げて、私を髪と同じ赤い瞳で見つめた。
男性はシシのモフモフな胸に飛びついたまま、オイオイ泣き出した。
「シシ、シシ~。た、助けてくれヨ~」
「あ、ああ? ……テト、なにがあった?」
「シシ、魔王~ネ。いま森で連れ去った女性が、魔王の砕けた心臓のカケラを持っていたネ」
(魔王の砕けた心臓? そんな話し、あの小説に出てきた?)
初めての内容に驚く私と、その話を聞いてシシは体を一瞬ブルっと震わせた。
「はぁ? まて、テトが森で連れ去った女性が、魔王の砕けた心臓のカケラを持っていただと? アレは大昔、勇者に壊された後、魔法使いが厳重に封印の魔法をかけただろう!」
男性は、シシに抱きつきながらウンウンと頷いた。
「かけていたヨ。でも、その女性がカケラを持っていたネ。アレは間違いないヨ」
二人の話をシシの背中でチェルを抱っこしながら、私は頭の中を整理した。私が知っている小説の内容は学園と、アーシャが婚約破棄を言い渡され、国外追放される学園卒業までだ。
(となると、次の巻は魔王が出てくる話になるのね? いまシシと男性が話している魔王を、聖女ロローナとルールリア王太子殿下、騎士団が倒す話し? 面白そう読みたかったわ)
マキロの森に入ったすぐ、赤く長い髪の男性がシシに抱きつき「なんとかしてくれヨ!」と泣いている。シシは魔王聞いたがまだ半信半疑らしく、眉をひそめていた。
「トキ、魔王は勇者に倒された。おまえの見間違いで、連れて行ったが苦手な女性だったんだろう」
「違ウ! ピンク色の髪の可愛い、好みの女性だったヨ。でも手に可愛くないモノを持ってタ」
彼の話からすると、連れ去った女性の手に持っていた、ランタンの中に魔王の心臓のカケラが入っていた。それを見た彼はブルブル震え上がり、どうしたらいいのかと考えたと同時に。シシの力をマキロの森に感じて、急いでココへと飛んできたと話した。
「ぜったいに魔王の復活はやだヨ! また仲間が使い捨てにされるシ。僕たちの平和がなくなル!」
「そうだね。魔王は暴君でわがままだから、このまま復活せず眠っていてほしいね。魔力がある、可愛い僕のアーシャが狙われそうだ!」
その男性、テトはシシの口から可愛いアーシャと聞き、シシのモフモフの胸元から顔を上げて、私を髪と同じ赤い瞳で見つめた。