婚約破棄されたのは、知らない間に精霊に愛されていたからでした!
「お嬢様は混乱しておいでのようです。ここは私から説明を」
「そうか。頼んだぞ」
お父様はうれしそうに言い、部屋を出て行った。
ウィレットと二人になった私は、ただ困惑して彼を見る。
「お待たせしました、お嬢様。人間の時間は過ぎるのが早くて、時間を見誤りましたこと、お詫び申し上げます」
「どういうことなのか、わからないんだけど」
戸惑う私に、ウィレットは依然と同じ極上の笑みを見せてくれた。
「どこからどこまでお話しいたしましょうか」
「全部に決まってるじゃない」
言い切る私に、ウィレットは苦笑した。
「かしこまりました。では、最初から。私は実は、人間ではなかったのです。精霊の一族なのですよ」
言われた私はぽかんと彼を見る。
「からかわないでくれる?」
「からかってなどいません。以前、白い鳥を助けましたよね? それが私です」
私は疑いに目を細めた。
この屋敷の全員が、かつて私が鳥を助けたことがあるのを知っている。だからそんな話は証拠にはならない。
「ある日、私が部屋を訪れると、あなたは勉強をさぼって隠していたおやつを食べているところでした。鳥の私が来たことに驚いて、喉をつまらせていました」
「——!」
それは私しか知らないはずだった。
「そうか。頼んだぞ」
お父様はうれしそうに言い、部屋を出て行った。
ウィレットと二人になった私は、ただ困惑して彼を見る。
「お待たせしました、お嬢様。人間の時間は過ぎるのが早くて、時間を見誤りましたこと、お詫び申し上げます」
「どういうことなのか、わからないんだけど」
戸惑う私に、ウィレットは依然と同じ極上の笑みを見せてくれた。
「どこからどこまでお話しいたしましょうか」
「全部に決まってるじゃない」
言い切る私に、ウィレットは苦笑した。
「かしこまりました。では、最初から。私は実は、人間ではなかったのです。精霊の一族なのですよ」
言われた私はぽかんと彼を見る。
「からかわないでくれる?」
「からかってなどいません。以前、白い鳥を助けましたよね? それが私です」
私は疑いに目を細めた。
この屋敷の全員が、かつて私が鳥を助けたことがあるのを知っている。だからそんな話は証拠にはならない。
「ある日、私が部屋を訪れると、あなたは勉強をさぼって隠していたおやつを食べているところでした。鳥の私が来たことに驚いて、喉をつまらせていました」
「——!」
それは私しか知らないはずだった。