花の海駅より君に描く、“約束の花”が咲いたとき
約束の花はアカシアに咲く
 花の海を吹き渡る風が花弁を儚く揺らしている。

 時の流れを自覚しないがままにアカシアと一緒に過ごし、いつの間にか黄昏時になっていた。アカシアの紅い瞳が映すのは――私と、なんだろう。


 「――線香花火みたいだな」


 「え?」


 一瞬、何を言われたのかよく分からず困ってしまう。


 「ことはながはじめてなんだよ。一緒にいて、泡沫のように時間を感じてしまったのは――だから“線香花火”」


 鮮やかに咲いて、散る光花を思い出す。


 自分だけが想っているのだと思ってた、ずっと。自分だけが苦くて、そわそわして、落ち着かないんだって。


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