花の海駅より君に描く、“約束の花”が咲いたとき
  そう思ったら、勝手に身体が動いていた。

  唇から紡がれた想いは、きっと永遠だ。


「私もアカシアがはじめてなの。こんなにもここが、花が、美しいって想えたのは。―――もし私が花だったら……あなたの傍で咲きたい、咲いていたい」


 アカシアの瞳の紅がこんなにも美しく想えたのは、きっと気のせいじゃない。


 泡沫のキスを交わす。世界がアカシア色に染まる、アカシアの花の海に溺れる。


 「こはな、好きだよ。君の瞳の花はやっぱり――君の瞳の色のとおりだった」


 アカシアから呼ばれた愛し名と差し出されたスケッチブックに、涙がひとひら零れ落ちた。


 
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