花の海駅より君に描く、“約束の花”が咲いたとき
 偶然かもしれない。でも――以心伝心なんだ、って勝手にひとり浮かれてしまう。


「明日十時、花の海駅でいいか?」

「うん! 楽しみにしてるね」

「おれも。春の花祭りもいいけど、おれは夏の花祭りの方が好きなんだ。夏は空に咲く花火だって、手の中で咲く花火だってある――儚くて強くて、きれいな花がたくさんあるんだよ」


 夏は暑くて、にぎやかすぎて、好きになれない季節だった。


 アカシアの花を語る姿は輝いている。――夏の、煌めきだ。


 この日は、アカシアが淹れたという果実と月灯蜜をたっぷり淹れたハーブティーを飲んだ。夏バテによく効くと教えてくれた。家族からも頼まれるから、いつも多めに作るのだとか。


 溶けてしまいそうなのは、夏の暑さのせいだけじゃない。


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