しるべ
楓は駅に着いたものの困り果てていた。
ーーどんな見た目の子供か聞いておけばよかった
暗くなったロータリーをくまなく探していると
楓の目線の先に1人の男の子が現れた。
その子は帽子から見える栗色のふわふわの癖毛、
リュックに水筒を背負って
駅の階段を降りたあたりで周りを見回している。
不安そうにリュックの肩紐を手で掴み
キョロキョロしている。
楓はここにきてどうやって
確認するか迷っていた。
こんな時間に見知らぬ子供に
声を掛けるなど不審者すぎる
成人男性1人じゃなく、家族でいれば
声を掛けやすかったかもしれないと
今更後悔していた。
ポストの側で楓が頭を悩ませていると
声を掛けられた。
「あの…坂倉楓さんですか?」
楓が振り向くとそこには
先ほどの男の子が立っていた。
近くで見ると可愛い顔立ちなのがよくわかる。
楓は頭を抱えていた手を戻すと
「そうだよ。君は…」
「初めまして。坂倉柊斗です。」
男の子は帽子をとって頭を深々と下げた。
男の子が持っている水筒の名札にも
「坂倉柊斗」と
懐かしい父の字で書かれていた。
楓 梓 柊斗
ーーこの子の名前にも木編を使ったのか。
そこに父の覚悟を感じた。
この子を育てるという覚悟を。
ならば、『兄』としてこの子に接しようと
その時楓は決めた。
「初めまして。坂倉楓です。
君が弟の柊斗君だね?」
男の子は嬉しそうに明るく笑った。
ーーどんな見た目の子供か聞いておけばよかった
暗くなったロータリーをくまなく探していると
楓の目線の先に1人の男の子が現れた。
その子は帽子から見える栗色のふわふわの癖毛、
リュックに水筒を背負って
駅の階段を降りたあたりで周りを見回している。
不安そうにリュックの肩紐を手で掴み
キョロキョロしている。
楓はここにきてどうやって
確認するか迷っていた。
こんな時間に見知らぬ子供に
声を掛けるなど不審者すぎる
成人男性1人じゃなく、家族でいれば
声を掛けやすかったかもしれないと
今更後悔していた。
ポストの側で楓が頭を悩ませていると
声を掛けられた。
「あの…坂倉楓さんですか?」
楓が振り向くとそこには
先ほどの男の子が立っていた。
近くで見ると可愛い顔立ちなのがよくわかる。
楓は頭を抱えていた手を戻すと
「そうだよ。君は…」
「初めまして。坂倉柊斗です。」
男の子は帽子をとって頭を深々と下げた。
男の子が持っている水筒の名札にも
「坂倉柊斗」と
懐かしい父の字で書かれていた。
楓 梓 柊斗
ーーこの子の名前にも木編を使ったのか。
そこに父の覚悟を感じた。
この子を育てるという覚悟を。
ならば、『兄』としてこの子に接しようと
その時楓は決めた。
「初めまして。坂倉楓です。
君が弟の柊斗君だね?」
男の子は嬉しそうに明るく笑った。