しるべ
柊斗は不安そうに電話をする楓を
チラチラ見ていた。
その様子を見た楓は
柊斗の背中をリュック越しに
トントンと叩いて
「大丈夫。
俺もお父さんに怒られたこと
いっぱいあるよ」
「え?楓さんも?」
「友達と知らない街まで
自転車で遊びに行って
帰り迷子になっちゃってね〜。
あとね、妹の作った工作を壊しちゃった時
ヒーロー戦隊のロボットに作り直したのが
バレて余計に怒られたりとか」
「ええぇーー」
楓は柊斗を和ませようとして
いつもより大袈裟に話した。
柊斗は楓のエピソードを聞いて
アンテナに引っ掛かる物があったのか
目をキラキラさせて笑っている。
柊斗の顔が綻んでリラックスしている
楓は確信に触れてみた。
「どうして、ここに来たか教えてくれる?」
柊斗は顔を硬くして黙った後小さく答えた。
「ひとりぼっちになっちゃうから…」
「え?誰が?」
「お父さんが」
「なんで?」
柊斗はまた口を貝のように瞑ってしまった。
ーーどういうことだ?
でも、悪い子ではないことはなんとなくわかる。
楓は努めて優しく話しかけ、質問を変えた。
「お父さんは元気かな?」
「…最近疲れてるよ。
よく休憩してるんだ。
痩せてきちゃって倒れないか…心配なんだ。」
柊斗はだいぶと大人っぽいことも
言うんだなと楓は感心していた。
「そうか。心配してるんだな。
まぁ歳だしな。
柊斗はよくお父さんのことを見てんだな。」
楓が笑顔で話しかけると柊斗は照れて俯いた。
「さて、そろそろ暗くなるか。
お父さん来るまで俺の実家に行こうか。
誰もいないけど」
「え?誰もいないの?」
柊斗は驚いていた。
楓はその驚いた顔を見てなんとなく
柊斗の目的の一部が母であることに気づいた。
ーーこれは母さんに会いに来たのか。
「もうすぐしたら、うちの母さんが来ると思うけど」
そう言ったら柊斗は小さく「そっか」と言って
顔が少し硬くなった。
ーー母さんに危害を加えそうな感じはしない。
母さんと合わせても大丈夫だと思うが…
父が来るまでは歳の離れた弟に
付いていようと決め
楓は柊斗を連れて実家に向かって歩き始めた。
チラチラ見ていた。
その様子を見た楓は
柊斗の背中をリュック越しに
トントンと叩いて
「大丈夫。
俺もお父さんに怒られたこと
いっぱいあるよ」
「え?楓さんも?」
「友達と知らない街まで
自転車で遊びに行って
帰り迷子になっちゃってね〜。
あとね、妹の作った工作を壊しちゃった時
ヒーロー戦隊のロボットに作り直したのが
バレて余計に怒られたりとか」
「ええぇーー」
楓は柊斗を和ませようとして
いつもより大袈裟に話した。
柊斗は楓のエピソードを聞いて
アンテナに引っ掛かる物があったのか
目をキラキラさせて笑っている。
柊斗の顔が綻んでリラックスしている
楓は確信に触れてみた。
「どうして、ここに来たか教えてくれる?」
柊斗は顔を硬くして黙った後小さく答えた。
「ひとりぼっちになっちゃうから…」
「え?誰が?」
「お父さんが」
「なんで?」
柊斗はまた口を貝のように瞑ってしまった。
ーーどういうことだ?
でも、悪い子ではないことはなんとなくわかる。
楓は努めて優しく話しかけ、質問を変えた。
「お父さんは元気かな?」
「…最近疲れてるよ。
よく休憩してるんだ。
痩せてきちゃって倒れないか…心配なんだ。」
柊斗はだいぶと大人っぽいことも
言うんだなと楓は感心していた。
「そうか。心配してるんだな。
まぁ歳だしな。
柊斗はよくお父さんのことを見てんだな。」
楓が笑顔で話しかけると柊斗は照れて俯いた。
「さて、そろそろ暗くなるか。
お父さん来るまで俺の実家に行こうか。
誰もいないけど」
「え?誰もいないの?」
柊斗は驚いていた。
楓はその驚いた顔を見てなんとなく
柊斗の目的の一部が母であることに気づいた。
ーーこれは母さんに会いに来たのか。
「もうすぐしたら、うちの母さんが来ると思うけど」
そう言ったら柊斗は小さく「そっか」と言って
顔が少し硬くなった。
ーー母さんに危害を加えそうな感じはしない。
母さんと合わせても大丈夫だと思うが…
父が来るまでは歳の離れた弟に
付いていようと決め
楓は柊斗を連れて実家に向かって歩き始めた。