しるべ
「ごめんなさい。聞こえてきちゃって。
もしかしてその車、child in carのステッカー貼ってる？」
佳乃子は女将に驚くとともに気まずそうに頷いた。

「女将さん、赤い車の女知ってるの？」
都は驚いて女将に聞いた。

「だって凄く嫌な感じのお客さんでね。覚えてる。」
マスターが「やめておけ」と言うも制止も気にせず女将は話を続けた。

「注文も吐き捨てる言い方でね。嫌なお客さんがきたなって思ったもの。その後、自分でカフェオレを注文しておきながら、『カフェイン入ってるじゃないの！ジュースと交換しろ』の一点張り。何言っても通じないの。そうなったらこっちも早く出てって貰いたかったからオレンジジュースと交換したわよ。あの女は相手にしちゃダメよ。」

女将の話が終わるとマスターがやってきて、ケーキを持ってきてくれた。
「すみません。勝手に話に入ってしまって。誰にも言わないように言い聞かせますから。」
女将は「だって今他にお客さんもいないし…」と話す。

佳乃子は首を振って
「そんなことないです。情報をありがとうございます。」
女将はマスターに「ほらー」と言いながら2人はカウンターの奥に戻っていった。
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