しるべ
千種色
11月の日曜日、浩介が山城法律事務所に訪れた。
先日あった頃よりやつれた顔をしている。
「お疲れですか?」
「えぇ。歳ですね。疲れが取れなくて」
浩介は子どもの夜のミルクを担当していて連日睡眠不足だと苦笑した。
「楓と梓の小さい頃を思い出します。」
目を細めた浩介は悲しそうに見えた。
「あの。佳乃子は…?」
「あぁ…まだ本調子ではないみたいですが、
以前よりだいぶ調子がいいみたいです。
楓や梓がそばにいてくれてますよ。」
「そうですか。」
山城の話を聞いて、ハーッと息を吐きながら少し安堵している。
「佳乃子の体調不良で離婚届の提出を待っていただきありがとうございます。」
「いえ、これは…私のせいですから…」
「離婚届の提出なんですが」
「佳乃子の好きな時で大丈夫です。」
「それだと坂倉さん育休を取得できないんじゃないんですか?」
「育休は取るつもりないんです。」
「そうですか…それでしたら。
あまり無理しない方がいいですよ。
そういえば楓も梓も実家から仕事に通っているみたいです」
「仕事場が遠いのに…申し訳ない。」
子どものことを思う浩介の顔は本物だった。
先日あった頃よりやつれた顔をしている。
「お疲れですか?」
「えぇ。歳ですね。疲れが取れなくて」
浩介は子どもの夜のミルクを担当していて連日睡眠不足だと苦笑した。
「楓と梓の小さい頃を思い出します。」
目を細めた浩介は悲しそうに見えた。
「あの。佳乃子は…?」
「あぁ…まだ本調子ではないみたいですが、
以前よりだいぶ調子がいいみたいです。
楓や梓がそばにいてくれてますよ。」
「そうですか。」
山城の話を聞いて、ハーッと息を吐きながら少し安堵している。
「佳乃子の体調不良で離婚届の提出を待っていただきありがとうございます。」
「いえ、これは…私のせいですから…」
「離婚届の提出なんですが」
「佳乃子の好きな時で大丈夫です。」
「それだと坂倉さん育休を取得できないんじゃないんですか?」
「育休は取るつもりないんです。」
「そうですか…それでしたら。
あまり無理しない方がいいですよ。
そういえば楓も梓も実家から仕事に通っているみたいです」
「仕事場が遠いのに…申し訳ない。」
子どものことを思う浩介の顔は本物だった。