しるべ
パーテーションの奥からはなんの返事もない。
晴香がすまなさそうにパタパタと
パーテーションを畳んだ。
そこには頭の上で手を組んだ楓が憮然とした顔でソファーに座っていた。
山城が視界に入ると楓は強めに睨みつけた。
「はかりましたね」
「ははは。約束を忘れててよ。
すまんすまん。俺も歳だな。やんなっちゃうなぁ」
後頭部をさすりながら謝っている。
その様子を見ていた楓が呆れ顔で立ち上がった。
「じゃ、俺も帰ります。用事ってこれですよね?」
「あ、うん。まぁ。…そうね。」
三文芝居の山城に晴香はたまらずバチンと
思い切り山城の背中を叩いた。
「いってー!」
山城は背中を反らしてぴょんぴょんと飛び跳ねる。
晴香は「うんって言ってるじゃん!」と目をいつも以上に大きくして山城を叱る。
その様子を見て楓は強張った顔が緩まりふふっと笑った。
晴香も楓に合わせるように「もー。ほんとにいろいろとひどいよね。」と怒りながら笑った。
山城も背中を両手でさすって苦笑している。
「山城さんが言いたいことは大体わかりました。
お節介。…ありがとうございました。」
と楓は山城に頭を下げて帰った。
階段を降りる後ろ姿が重なった。
同じ後ろ姿に山城は「親子だな」と切なそうに呟いた。
晴香がすまなさそうにパタパタと
パーテーションを畳んだ。
そこには頭の上で手を組んだ楓が憮然とした顔でソファーに座っていた。
山城が視界に入ると楓は強めに睨みつけた。
「はかりましたね」
「ははは。約束を忘れててよ。
すまんすまん。俺も歳だな。やんなっちゃうなぁ」
後頭部をさすりながら謝っている。
その様子を見ていた楓が呆れ顔で立ち上がった。
「じゃ、俺も帰ります。用事ってこれですよね?」
「あ、うん。まぁ。…そうね。」
三文芝居の山城に晴香はたまらずバチンと
思い切り山城の背中を叩いた。
「いってー!」
山城は背中を反らしてぴょんぴょんと飛び跳ねる。
晴香は「うんって言ってるじゃん!」と目をいつも以上に大きくして山城を叱る。
その様子を見て楓は強張った顔が緩まりふふっと笑った。
晴香も楓に合わせるように「もー。ほんとにいろいろとひどいよね。」と怒りながら笑った。
山城も背中を両手でさすって苦笑している。
「山城さんが言いたいことは大体わかりました。
お節介。…ありがとうございました。」
と楓は山城に頭を下げて帰った。
階段を降りる後ろ姿が重なった。
同じ後ろ姿に山城は「親子だな」と切なそうに呟いた。