しるべ
「タイラー…さん?」

「初めまして…?アズのお母さんですね!スコット・タイラーです。」
「あぁ、初めまして。波田佳乃子です。」
タイラーは佳乃子の前に立つと握手を交わした。

パソコンの画面で見た印象より背が高い
佳乃子は驚きを隠せない顔でタイラーを見上げたq


「何?日本語喋れるの?もう言ってよー。
びっくりしたんだから。」
そう言って女将さんもタイラーと握手していた。


その様子を見て佳乃子は笑っている。
女将が「知り合いなら一緒のテーブルがいいわね」と、佳乃子のサンドイッチとジュースをタイラーと同じ窓際の席に置いてくれた。

タイラーは日本に在住して10年。
人懐っこい笑顔に年齢を感じるシワが魅力的な紳士だった。
今は高校の英語教師に加えて、英語圏の外国人に向けて日本を紹介しているHPを運営していた。
そのHPの書籍化に伴い、いろんなお店を探しているのだと教えてくれた。

「タイラーさんは、オーストラリアにいるのかと思っていました。」
「いえ、今もアズのいた大咲高校勤務しています。アズはとても英語が上手くなりましたね。それに佳乃子さんも上手ですね。」
「大学の英文科を出て、仕事でも英語を少し使っていました。でも20年以上ぶりに話したので発音が難しい。」
「僕は20年ぶりの英語が聞けたんですね。素敵ですね。」
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