しるべ
前妻が駄々に駄々を捏ねて
柊斗が産まれるまでに結婚できなかった。
ほんと嫌がらせ
あのくだらない男と一緒で
お金で解決したけど
おかげであの男に渡したお金と前妻に渡したお金で
私の貯金は無くなってしまった。
でもやっと浩介くんと一緒になれた。
浩介くんが私と柊斗だけの物になった。
柊斗が産まれてからは
三人で幸せになれると思っていた。
あのBBQで見たような幸せな家族になれるって
だけど、私は子どもを愛せなかった。
子どもは私の欲しい物ではなかった。
後からわかった
私は愛されるためだけに
子どもを産んだの
細い腕も
細い足にも
寝顔や
弱々しく泣く声に
愛しさを感じなかった。
いつか母性が生まれると思って
最初の一年は義務的に事務的に
子どもの衣食住の世話をしていた。
私も両親と同じで子どもを愛せなかった
愛された記憶がないもの
柊斗が1歳になった頃、限界になった
日中二人だけの生活が苦しくて
私は逃げるように仕事を始め柊斗を保育園へ預けた。
浩介くんは私がフルタイムの仕事を始めても
何も言わずに家事も前以上に分担してくれた。
浩介くんは私たちをいろんなとこに連れて行ってくれたり
服や欲しい物を何でも買ってくれた。
だけど浩介くんに私は愛されてないことに気づいた
出産してからも
浩介くんは私に触れなかった。