しるべ
浩介が夏海の不在に気づいたのは土曜日の午前中
柊斗を連れてスーパーで買い物をし、
家に戻ってきた時だった。
夏海が何も言わずに出掛けていることに
気付き嫌な胸騒ぎがした。
夏海は働き出した頃から
柊斗に徐々に関心を示さないようになった。
浩介は夏海の柊斗への態度が度を超えていることに
危機感を感じていた。
夕方家に戻ると柊斗のオムツが容量を超えて漏れていた。
そのことに気付いて浩介がオムツを替えると
さっきまでニコニコと話しかけていた夏海が
嫌なものを見る様に顔を顰めた。
別の日にはリビングで泣き疲れたであろう柊斗の泣き腫らした寝顔を見て流石に非難した。
その時初めて拒絶の顔を見せた。
それから夏海は徐々に
様子がおかしくなっていた。
家の誰にも興味を示さなくなった。
誰とも話をしなくなった。
寝室で「返せ」と独り言を言っているのを聞いたのは昨日だった。
予感は嫌な方に的中していた。
夏海のGPSを確認すると夏海の所在地は県外を示し、佳乃子の家の方面に向かっているようだ。
すぐに山城に電話をし、一部始終話した。
気のせいかもしれないが佳乃子の家に向かってもらうようお願いした。
買い物袋もそのままに
柊斗を再びチャイルドシートに乗せると
柊斗はお出かけだと喜んだ。
そんな無垢な笑顔が焦る浩介を落ち着かせてくれた。
浩介はハンドルを強く握ると「間に合ってくれ」と祈った。
高速道路を南に向かって6時間走らせ、
夏海を何とかギリギリの所で捕まえたのだった。
柊斗を連れてスーパーで買い物をし、
家に戻ってきた時だった。
夏海が何も言わずに出掛けていることに
気付き嫌な胸騒ぎがした。
夏海は働き出した頃から
柊斗に徐々に関心を示さないようになった。
浩介は夏海の柊斗への態度が度を超えていることに
危機感を感じていた。
夕方家に戻ると柊斗のオムツが容量を超えて漏れていた。
そのことに気付いて浩介がオムツを替えると
さっきまでニコニコと話しかけていた夏海が
嫌なものを見る様に顔を顰めた。
別の日にはリビングで泣き疲れたであろう柊斗の泣き腫らした寝顔を見て流石に非難した。
その時初めて拒絶の顔を見せた。
それから夏海は徐々に
様子がおかしくなっていた。
家の誰にも興味を示さなくなった。
誰とも話をしなくなった。
寝室で「返せ」と独り言を言っているのを聞いたのは昨日だった。
予感は嫌な方に的中していた。
夏海のGPSを確認すると夏海の所在地は県外を示し、佳乃子の家の方面に向かっているようだ。
すぐに山城に電話をし、一部始終話した。
気のせいかもしれないが佳乃子の家に向かってもらうようお願いした。
買い物袋もそのままに
柊斗を再びチャイルドシートに乗せると
柊斗はお出かけだと喜んだ。
そんな無垢な笑顔が焦る浩介を落ち着かせてくれた。
浩介はハンドルを強く握ると「間に合ってくれ」と祈った。
高速道路を南に向かって6時間走らせ、
夏海を何とかギリギリの所で捕まえたのだった。