恋した相手は、ツンデレ×俺様海賊王でした!?〜デンジャラスでスイートな大航海〜

出会い

今にも雨が降り出しそうな曇り空の下、ドクロマークを掲げた帆船の甲板で、風貌の悪い男達が盛大な宴会を行っていた。


「飲め!どんどん飲め!宵は飲みまくれ!パシチュー二海は、我らハマーズ団が制圧した!この領域は、本日より我らのものなのだ!それを祝して、本日は飲むのだ!飲みまくるのだ!」

「おーーーー!!!」


ハマーズ団。

それは、世界各国で懸賞金をかけられているほど、名が知れ渡っている悪徳海賊団の1つである。

強盗、強奪、暴行、窃盗行為は彼らにとって、当たり前。
彼らの行為はそれらだけにはとどまらず、更にエスカレートしており、強姦、誘拐、監禁という犯罪行為にまでも手を染めていっているという。

この物語の主人公であるリオナは、不運なことに、彼らのターゲットとなってしまったのだ。


「酒だ!酒!もっと持ってこい!」

「踊れや踊れや!そ〜れや!そ〜れや!」


ジョッキをガツンガツンと合わせ合う音や豪快な笑い声、踊りの足踏みによる楽しげな地響きが響き渡る中、ラプンツェルのような美しいブロンド色のおさげヘアが特徴の彼女は、地下の食料倉庫に閉じ込められていた。

食料が沢山詰められてある樽が並び置かれている中、一際目立つ人間一人分入るくらいの木箱。

その中に、猿轡を噛まされ、体をくの字で後ろ手に縛られた状態のリオナが閉じ込められているとは、通常であれば、誰しも想像がつかないだろう。


「⋯っ⋯っ⋯」

(ダメ⋯、この縄、全然解けない⋯)


体を身じろぎさせながら、何度もぐぐぐっと手首に力を入れ、自分を拘束している縄をどうにか解こうと試みるリオナだが、きつく縛られているせいか、そう簡単に縛めから逃れることは出来ないようだ。


(何で、こんなことになっちゃんたんだろう⋯。そして、何で私なの⋯?)


脱力したリオナは、自分の声を封じ込めている白い布の下で、ふうっと悲しいため息をつくと、そっと目を閉じ、今の状態に至るまでの経緯を遡っていく。
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