プレイボール
ふー。とため息をつく。
佐々木監督の言動が、僕のことを思ってなのか、ただの無責任なのか僕には判断ができない。
そもそも心の整理がつかない。
ふと、通話の切れたスマホの画面を見るとメールが1件入っていた。
開いてみると妹のひよりからだ。
“お兄ちゃん、最近連絡ないから、私からメールしてみたの。
高校生活はどう?勉強楽しい?また学校生活のこと色々教えてね。半田さんにお兄ちゃんは桜木高校に入学したんだって自慢しちゃった!
後、野球頑張ってね。ふぁいとー!”
僕は時計をみて急いで返信する。もうすぐ10時半だ。
“ひより、夏は暑いから体調には気をつけるんだよ。少しでも異変を感じたらすぐに半田さんに相談すること。
また連絡するから。“
短い文章を送ってさっとスマホの電源を落とそうとすると、ブルルル すぐに返事が来た。
“お兄ちゃん、心配しすぎ!子供じゃないんだからね!ばか。
追伸:野球頑張ってね!“
最後の文章を読んで僕は今度こそスマホの電源を落とす。
どこだろうと野球の自主練習はできる。そう気を奮い立たせてベランダから部屋に戻る。
「一郎くんだよね。あの、、大丈夫?なんかすごい怒ってたみたいだけど。。」
三田陸がオドオドしながら言う。
「あー、さんちゃん、そっちまで聞こえてたのか。悪かったな。
ちょっとトラブルだ。問題ない。」
そう言って、スマホを返すついでに自主練をするためバットとボールも一緒に手にもつ。
「さんちゃん、あんなやつほっとけよ。学校やめちまうやつなんざと仲良くする必要はねえ。」
進藤五郎が言う。
僕は何も言わずにドアに手をかけると、さんちゃんがこちらを向いたまま言う。
「学校辞めるってどう言うこと?まだ5月だよ!
オリエンテーションもやっと終わって、ちゃんとした授業が始まるのは明日からじゃないか。
授業、つまらなかった?」
僕は仕方なしに弁明する。
「はは、そうだな。ちょっと入学に手違いがあってな。
野球部に入るつもりだったんだけど学校間違えたみたい。」
そういって僕は手に持っているバットを三ちゃんの方に掲げる。
すると五郎が食ってかかる。
「お前がどこに行こうが俺には関係ねえ。だがな、なんなんだよ!
たかが野球のために転校するとかふざけんな。
この学校にいる全員がどう言う気持ちで入学してんのか分かってんのかよ。
入学したくてもできねえ奴らが山ほどいるんだぞ!冗談じゃねえ。」
五郎の癇癪に触ったようだがこちらだって冗談じゃない。
どのまま勢いよくドアを開けて部屋を出ていった。
玄関近くの寮母室にスマホを返しにいく。
「1年 佐藤一郎 スマホを返しに来ました。」
「あー、はいはい、佐藤くんね。」
そう言ってスマホを預かって管理簿にチェックをつける。
僕はそのまま玄関の靴を履こうとしていると寮母さんが呼び止めた。
「佐藤くん、バット持って、今から素振りでもするのかい?」
僕は振り向いて言う。
「あー、はい。桜木高校の野球部は廃部になちゃったけど、次の学校に転校するまで練習は欠かしたくないんです。」
寮母は関心したように言った。
「偉いねえ。最近の若者は。でも本当に学校辞めちゃうの?
うちの学校を辞めていく人なんて今までいなかったし、それに一昨年はものすごい野球部が強かったのよ。
それも西村先生のおかげなんだけれどねえ。」
「あの、西村先生ってどんな人なんですか。
僕、西村先生についていこうと思ってこの学校に入って来たんですけど、辞任されたようで。」
僕は興味本位で聞く。
「いやー、西村先生は自由気ままな人でしたよ。
それこそ明日は練習休みとか言ってたのに次の日になると急に今から練習試合するとか言ってさ。
一昨年は、えーと、あっ、空くん。ほら3年生で今生徒会長の!彼が中心となって野球部強かったんだから。
確か、甲子園出場まで後1勝というところまで進んだのよ。
あの時は地元では大騒ぎでね。何せ桜木高校から甲子園出場なんてね。ふふふ。惜しかったわ。」
そう寮母は懐かしむように言う。
「はあ、そうなんですか。桜木高校から甲子園ってそんなにすごいことなんですね。
僕はてっきり西村先生が監督をなさっているうちは毎年甲子園に出場しているものだと思っていました。」
僕は思ったままを口にした。
“西村先生についていけば甲子園出場間違いなし“と言った佐々木監督の言葉は嘘だったのだろうか。
寮母はこれまた驚いたように口を開いて言う。
「いやいやいや、西村先生が本気になれば確かに甲子園は行けるかも知れないねえ。
でも西村先生って確か一昨年野球部の顧問になるまでは、吹奏楽部にいらしたから、それまで野球のことは何も知らないようでしたよ。そもそも桜木高校ってそういう学校だからねえ。」
そう意味深なことを言って
「練習頑張ってね。」と寮母室のガラス戸を閉めてしまった。
僕は軽く会釈をしてそのまま外へ出る。
夜は素振りを毎日500回。欠かさずにやっている。
素振りのをしながら僕の頭の中は寮母との会話を思い出す。少し疑問が残る。
桜木高校ってそういう高校ってどういうことなんだ。
確か、吾郎も辞めることに対してすごく怒っていたなあ。
偏差値は高そうだけど。。明日、図書館にあるネットで調べてみるか。
それから西村先生のこと。どうやら野球に詳しくないようだけど。
そもそも野球を知らないで監督ってどう言うことだ。ことらもモヤモヤが残る。
まあいい。こっちも明日、少し調べてみるか。
500回の素振りを終えた僕の手はまた豆が一つ潰れたようだ。
このあとはピッチングだ。
と言っていも外は暗いし受けっとくれる相手もいないので、ネットにむかってひたすら投げるだけ。
これも毎日500球。スタメン出場するには体力が欠かせない。
そうこうしているうちに、もうすっかり日を跨ぎそうになる。
僕は慌てて引き上げて急いで部屋に戻る。
どう部屋のさんちゃんと吾郎はもう寝ている。
僕は起こさないように静かにベットに入って眠りに落ちた。
佐々木監督の言動が、僕のことを思ってなのか、ただの無責任なのか僕には判断ができない。
そもそも心の整理がつかない。
ふと、通話の切れたスマホの画面を見るとメールが1件入っていた。
開いてみると妹のひよりからだ。
“お兄ちゃん、最近連絡ないから、私からメールしてみたの。
高校生活はどう?勉強楽しい?また学校生活のこと色々教えてね。半田さんにお兄ちゃんは桜木高校に入学したんだって自慢しちゃった!
後、野球頑張ってね。ふぁいとー!”
僕は時計をみて急いで返信する。もうすぐ10時半だ。
“ひより、夏は暑いから体調には気をつけるんだよ。少しでも異変を感じたらすぐに半田さんに相談すること。
また連絡するから。“
短い文章を送ってさっとスマホの電源を落とそうとすると、ブルルル すぐに返事が来た。
“お兄ちゃん、心配しすぎ!子供じゃないんだからね!ばか。
追伸:野球頑張ってね!“
最後の文章を読んで僕は今度こそスマホの電源を落とす。
どこだろうと野球の自主練習はできる。そう気を奮い立たせてベランダから部屋に戻る。
「一郎くんだよね。あの、、大丈夫?なんかすごい怒ってたみたいだけど。。」
三田陸がオドオドしながら言う。
「あー、さんちゃん、そっちまで聞こえてたのか。悪かったな。
ちょっとトラブルだ。問題ない。」
そう言って、スマホを返すついでに自主練をするためバットとボールも一緒に手にもつ。
「さんちゃん、あんなやつほっとけよ。学校やめちまうやつなんざと仲良くする必要はねえ。」
進藤五郎が言う。
僕は何も言わずにドアに手をかけると、さんちゃんがこちらを向いたまま言う。
「学校辞めるってどう言うこと?まだ5月だよ!
オリエンテーションもやっと終わって、ちゃんとした授業が始まるのは明日からじゃないか。
授業、つまらなかった?」
僕は仕方なしに弁明する。
「はは、そうだな。ちょっと入学に手違いがあってな。
野球部に入るつもりだったんだけど学校間違えたみたい。」
そういって僕は手に持っているバットを三ちゃんの方に掲げる。
すると五郎が食ってかかる。
「お前がどこに行こうが俺には関係ねえ。だがな、なんなんだよ!
たかが野球のために転校するとかふざけんな。
この学校にいる全員がどう言う気持ちで入学してんのか分かってんのかよ。
入学したくてもできねえ奴らが山ほどいるんだぞ!冗談じゃねえ。」
五郎の癇癪に触ったようだがこちらだって冗談じゃない。
どのまま勢いよくドアを開けて部屋を出ていった。
玄関近くの寮母室にスマホを返しにいく。
「1年 佐藤一郎 スマホを返しに来ました。」
「あー、はいはい、佐藤くんね。」
そう言ってスマホを預かって管理簿にチェックをつける。
僕はそのまま玄関の靴を履こうとしていると寮母さんが呼び止めた。
「佐藤くん、バット持って、今から素振りでもするのかい?」
僕は振り向いて言う。
「あー、はい。桜木高校の野球部は廃部になちゃったけど、次の学校に転校するまで練習は欠かしたくないんです。」
寮母は関心したように言った。
「偉いねえ。最近の若者は。でも本当に学校辞めちゃうの?
うちの学校を辞めていく人なんて今までいなかったし、それに一昨年はものすごい野球部が強かったのよ。
それも西村先生のおかげなんだけれどねえ。」
「あの、西村先生ってどんな人なんですか。
僕、西村先生についていこうと思ってこの学校に入って来たんですけど、辞任されたようで。」
僕は興味本位で聞く。
「いやー、西村先生は自由気ままな人でしたよ。
それこそ明日は練習休みとか言ってたのに次の日になると急に今から練習試合するとか言ってさ。
一昨年は、えーと、あっ、空くん。ほら3年生で今生徒会長の!彼が中心となって野球部強かったんだから。
確か、甲子園出場まで後1勝というところまで進んだのよ。
あの時は地元では大騒ぎでね。何せ桜木高校から甲子園出場なんてね。ふふふ。惜しかったわ。」
そう寮母は懐かしむように言う。
「はあ、そうなんですか。桜木高校から甲子園ってそんなにすごいことなんですね。
僕はてっきり西村先生が監督をなさっているうちは毎年甲子園に出場しているものだと思っていました。」
僕は思ったままを口にした。
“西村先生についていけば甲子園出場間違いなし“と言った佐々木監督の言葉は嘘だったのだろうか。
寮母はこれまた驚いたように口を開いて言う。
「いやいやいや、西村先生が本気になれば確かに甲子園は行けるかも知れないねえ。
でも西村先生って確か一昨年野球部の顧問になるまでは、吹奏楽部にいらしたから、それまで野球のことは何も知らないようでしたよ。そもそも桜木高校ってそういう学校だからねえ。」
そう意味深なことを言って
「練習頑張ってね。」と寮母室のガラス戸を閉めてしまった。
僕は軽く会釈をしてそのまま外へ出る。
夜は素振りを毎日500回。欠かさずにやっている。
素振りのをしながら僕の頭の中は寮母との会話を思い出す。少し疑問が残る。
桜木高校ってそういう高校ってどういうことなんだ。
確か、吾郎も辞めることに対してすごく怒っていたなあ。
偏差値は高そうだけど。。明日、図書館にあるネットで調べてみるか。
それから西村先生のこと。どうやら野球に詳しくないようだけど。
そもそも野球を知らないで監督ってどう言うことだ。ことらもモヤモヤが残る。
まあいい。こっちも明日、少し調べてみるか。
500回の素振りを終えた僕の手はまた豆が一つ潰れたようだ。
このあとはピッチングだ。
と言っていも外は暗いし受けっとくれる相手もいないので、ネットにむかってひたすら投げるだけ。
これも毎日500球。スタメン出場するには体力が欠かせない。
そうこうしているうちに、もうすっかり日を跨ぎそうになる。
僕は慌てて引き上げて急いで部屋に戻る。
どう部屋のさんちゃんと吾郎はもう寝ている。
僕は起こさないように静かにベットに入って眠りに落ちた。