ファースト・デート
02
高校生って、けっこう忙しい。
あたしは部活もバイトもしてないけど、それでも宿題に小テストに定期テストに追われていた。
一息つけるのが、福原くんとの図書当番。
お互いに、好きな本を交換してみたりなんかして。
ちょっとずつ、ちょっとずつ、福原くんとは打ち解けていった。
「花崎さん。テストお疲れさまです」
七月。一学期の期末テストが終わった翌日の図書当番。
福原くんとはずいぶん久しぶりに会う感覚だった。
「福原くん、テストどうだった?」
「そんなに自信ないですねぇ……」
「えー、本当に?」
あたしはというと……補習は何とか回避できたかな、というところ。
うちの高校は、地域では進学校として知られていて、ほとんどの生徒が大学を目指す。
来年になったら受験生。趣味の本なんて読む暇がなくなるんだろうなと思うと、今からげっそりだ。
相変わらず誰も来ない図書室のカウンターで、あたしたちはしばらく勉強の話をしていた。
それが途切れて、福原くんは咳払いをした後に言った。
「あのぅ、花崎さん。嫌だったらいいんです。僕と、その……遊園地、行きませんか?」
「えっ、遊園地? 行きたい!」
あたしは今まで、遊園地に行ったことが一度もなかった。
うちの親は、そういうところに連れて行ってくれなかったのだ。
まずは勉強。次に勉強。とにかく勉強。
そういう親だから。
「花崎さん、本当にいいんですか?」
「もちろん! ねぇ、いつにする? 次の土曜日空いてる?」
「空いてますけど……」
「じゃあ行こう行こう!」
そして、連絡先を交換していなかったことを思い出して、スマホでやりとりして。
土曜日の朝に、駅で待ち合わせることにした。
遊園地に行けることが嬉しすぎて、金曜日になるまで気付かなかったけど。
あれ? これって、男の子との初デートじゃない?
そう意識してしまってからは、大変だった。
服、どうしよう。頭の中が大騒ぎだ。
動きやすい方がいいからスカートはダメ。
そうするとパンツだけど……暑いだろうしショートパンツかな。
はいてみる。
脚、出しすぎな気がする。ニーハイはいとこうか。
上、どうしよう。上。可愛いのなんて持ってない。
半袖のトップスを片っ端から着てみる。
しっくりきたのはやっぱりTシャツ。
だってほら、遊園地だもんね。スポーティーな方がそれっぽいよね。
白地で胸にワンポイントがついたものにした。
「大丈夫、梓、大丈夫、大丈夫……」
そう鏡の前でブツブツ呟いて、パジャマに着替えてベッドに入ったけど、なかなか寝付けなかった。
あたしは部活もバイトもしてないけど、それでも宿題に小テストに定期テストに追われていた。
一息つけるのが、福原くんとの図書当番。
お互いに、好きな本を交換してみたりなんかして。
ちょっとずつ、ちょっとずつ、福原くんとは打ち解けていった。
「花崎さん。テストお疲れさまです」
七月。一学期の期末テストが終わった翌日の図書当番。
福原くんとはずいぶん久しぶりに会う感覚だった。
「福原くん、テストどうだった?」
「そんなに自信ないですねぇ……」
「えー、本当に?」
あたしはというと……補習は何とか回避できたかな、というところ。
うちの高校は、地域では進学校として知られていて、ほとんどの生徒が大学を目指す。
来年になったら受験生。趣味の本なんて読む暇がなくなるんだろうなと思うと、今からげっそりだ。
相変わらず誰も来ない図書室のカウンターで、あたしたちはしばらく勉強の話をしていた。
それが途切れて、福原くんは咳払いをした後に言った。
「あのぅ、花崎さん。嫌だったらいいんです。僕と、その……遊園地、行きませんか?」
「えっ、遊園地? 行きたい!」
あたしは今まで、遊園地に行ったことが一度もなかった。
うちの親は、そういうところに連れて行ってくれなかったのだ。
まずは勉強。次に勉強。とにかく勉強。
そういう親だから。
「花崎さん、本当にいいんですか?」
「もちろん! ねぇ、いつにする? 次の土曜日空いてる?」
「空いてますけど……」
「じゃあ行こう行こう!」
そして、連絡先を交換していなかったことを思い出して、スマホでやりとりして。
土曜日の朝に、駅で待ち合わせることにした。
遊園地に行けることが嬉しすぎて、金曜日になるまで気付かなかったけど。
あれ? これって、男の子との初デートじゃない?
そう意識してしまってからは、大変だった。
服、どうしよう。頭の中が大騒ぎだ。
動きやすい方がいいからスカートはダメ。
そうするとパンツだけど……暑いだろうしショートパンツかな。
はいてみる。
脚、出しすぎな気がする。ニーハイはいとこうか。
上、どうしよう。上。可愛いのなんて持ってない。
半袖のトップスを片っ端から着てみる。
しっくりきたのはやっぱりTシャツ。
だってほら、遊園地だもんね。スポーティーな方がそれっぽいよね。
白地で胸にワンポイントがついたものにした。
「大丈夫、梓、大丈夫、大丈夫……」
そう鏡の前でブツブツ呟いて、パジャマに着替えてベッドに入ったけど、なかなか寝付けなかった。