夏の砂浜で、私はあなたと線香花火みたいな恋をした
「あ、山田さん…」



「どうしたの花火ちゃん?なんか元気ないね…」




「ちょっと未来と喧嘩しちゃって…」



「え、未来ちゃんと?」




お母さんのような親しみやすい雰囲気の山田さんが相手だとついつい話してしまう




「私今日寝坊しちゃって…未来と遊ぶ約束してたのに、それは悪かったなって思うんです。
でも未来が喧嘩腰で話してきたから、私もついカッとなってしまって…
寝坊するくらいでそんなに怒らなくてもいいじゃんって思って未来にきついこと言っちゃって…」




「そっかぁ〜2人は仲良しなんだね」




「え?」




今の子供っぽいケンカエピソードの中に仲が良いなんて言える点あったかな?



「だって、そうでしょう?
未来ちゃんね、普段はとっても大人しい子なの。
痛い検査だって嫌がらずに受けて看護師が話しかけても少し微笑むだけ。

暇な時間はずっと窓の外を眺めていたり、折り紙をしたり…とにかく大人しい子なの」




< 28 / 32 >

この作品をシェア

pagetop