夏の砂浜で、私はあなたと線香花火みたいな恋をした

「急にごめんね、ここの前を通ったら貴方の声が聞こえて、つい入っちゃった。

私は新谷未来（しんやみらい）よろしくね！」



急に病室に入ってきた相手を失礼だ、とか、迷惑だ、とか考えなかったのはきっと、このきれいすぎる容姿のせい。



腰辺りまで伸びたやわらかそうな茶色の髪。
色素が薄く優しげに細められた大きい目。
つん、と触れただけで崩れてしまいそうな細いからだ。


彼女の全身が儚げな雰囲気を出してこの世のものではないのではないかとさえ思える。




「…あっ、私は星田花火（ほしだはなび）」



「ふーん花火ちゃんっていうんだ！可愛い名前」




「ありがとう、未来もすごくいい名前だと思う」




「そ〜お？私は世界で一番私に似合わない名前だ、なんて思ってるけどな〜」