寄り道で異世界来ちゃったけど、騎士様に愛されてますか?
俯く莉里子の耳に、
「こんな美しい女性が、男性に相手にされたことがないなんて信じられない!」
レオ様の呟きが聞こえてくる。
いや、相手にされたことがないって。まあ、そうなんだが。
しかも、 『こんな美しい女性』って嫌味?
顔を上げた莉里子は、レオ様と目が合った。
レオ様はずっと彼女を見ていたらしく、その後も彼女から目を離さず、きびきび言った。
「では、今日から、ランス殿下とリリー様、お二人きりでここで暮らしていただきます」
「え? 今何て?」
「魔王の呪いを解くのは、聖女様が王子様の妻となることです。殿下、リリー様、お願いします。お二人は結婚してくれますね?」
「結婚するしかないのです、あなたたちは」
レオ様の言葉を引き継いで、セレスティアが念押しするように言った。
「幸い、殿下は優しく立派なお方。リリー様もこの上なく素敵なお方とお見受けする。お二人はお似合いと思うしか」
レオ様の言葉に頷いていたセレスティアだったが、「ん?」と呟いた。
「レオナール殿。まるで自分自身に言い聞かせるみたいに言うのね」