寄り道で異世界来ちゃったけど、騎士様に愛されてますか?

 そう思った途端、お腹が空いていることに気づいた。
 “異世界” に来るまでの時差があるのかどうか、あるとしたらどのくらいなのか不明だが、ずっと何も口にしていない。

 コンビニで購入した弁当とスイーツは、ここ(異世界)に来る途中で紛失してしまったようだ。
(仕方ない。ランスとレオ様におねだりしてみるか)

「あのぅ、レオ様。私、実はお腹が空いていますの」
 意識して、かわいこぶって言ってみた。
 すると、レオ様は片手で顔を覆い、「ああ」と(うめ)いてよろめく。

(な、何かまずいこと言ったかしら?)
 うろたえる莉里子を尻目に、絶望したようにレオ様が言う。

「私としたことが! まずはリリー様のお体の具合に心を配らなくてはならないというのに!」

「いや、そんな大袈裟な」

「大袈裟ではありません。あなた様はこの国を救ってくださる聖女様なのだから。王子の親衛隊長たる私は、この身に代えても、あなた様をお守りしなくてはならないというのに!」

 熱弁をふるう前に、さっさと何でもいいから食べさせてほしいと思う莉里子だった。

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